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西日本高速道路メンテナンス九州とビルドメンテックが共同開発

REJ工法 伸縮装置の止水機能を回復させるだけで取替の必要なし

公開日:2021.05.26

 西日本高速道路メンテナンス九州とビルドメンテックが共同開発した簡易鋼製ジョイントを対象とした漏水補修工法「REJ(リフレッシュジョイント)工法」が実績を伸ばしている。同工法は止水材を撤去して鋼材部をブラストにより1種ケレンしたのち、フラッシュラストを防ぐための防錆剤を塗布し、その上に相性の良いプライマーを塗布した上でシリコーン系の伸縮性および付着性に優れた弾性シール材を充てんして止水機能を回復させるもの。伸縮装置そのものを取り換える必要がないため、コストを大幅に縮減可能で、実績はここ3年で高速道路を中心に国交省や自治体の橋梁など956m(2021年3月末)に達している。(井手迫瑞樹)

横歯型ジョイント 既存シール材除去用の小さな鋸状の治具を開発
 

 従来の簡易鋼製ジョイントは、ジョイントの内部にあるシール材が損傷して漏水が生じている場合、全取替を行っていた。しかし止水機能は喪失したものの、伸縮機能は保っていることも多く、そうした個所はシール材を取り換えることで再生できるのではないかというアプローチからREJ工法の開発が始まった。
 施工対象は、伸縮量50mm未満あるいは50mm以上の縦歯型ジョイントと同15mm以上の横歯型ジョイントに分けられる。


伸縮量15mm以上の横歯型ジョイント例

伸縮量50mm未満あるいは50mm以上の縦歯型ジョイント例

 まず、中途半端に残っているシール材だが、遊間が比較的広い縦歯型タイプでは引っ張り出して取り除くことは容易である。しかし、狭小な施工遊間が多い横歯型ジョイントにおいては除去することが難しい。上図のようにジョイントの歯部分の下面にも既存シール材が回っているためだ。その反面、付着力を考慮すれば、「遊間量の多い縦歯形タイプは完全に錆を除去して付着断面積を稼ぐことで付着力を担保する必要があるが、横歯型タイプは小さな付着力でも対応できることが分かった」(西日本高速道路メンテナンス九州)。その結果、小さな鋸状の治具を開発し、歯の下部のシール材は残置する形で取り除くようにした。

既設止水材の撤去

ブラストにより1種ケレン相当の下地を形成
 シリコーン系で低モジュラス(0.1N/㎟、伸び率1,700%以上)の止水材を設置

 さて、止水機能を失っている簡易鋼製ジョイントは「伸縮機能を有しているものの錆が酷い状態のものも多い」(同)。そのためブラストの品質が重要だ。「錆完全に除去しなければシール材を設置しても付着力が早期に低下し、剥離を引き起こし止水性の喪失を招く」(同)ためだ。

ブラストの施工状況

 ブラストはオープンで施工する。そのため研削材や錆が下に落ちないように、あらかじめジョイント下部にポリエンチレン系のバックアップ材を設置することで、桁下への落下を防ぎ、その後バキュームして取り除き、1種ケレン相当の下地を形成する。次にフラッシュラストを防ぐための防錆剤をブラストした鋼材表面に塗布し、次いでプライマーを塗布、最後にシリコーン系で低モジュラス(0.1N/㎟、伸び率1,700%以上)の止水材を設置する。これらの施工時間は1箇所(片車線、約5.0m)当たり4時間程度で施工可能だ。

防錆剤やプライマーの塗布

止水材の充填

施工例(左:九州縦貫道白川橋、右:国道2号高梁川橋)

 両社では、橋梁補修について実績があり知識を有する協力会社を増やし、品質を確保しつつ、実績を増やしていく方針だ。

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