WJによるハンチ部の切削高さをこれまでの50mmから30mmに縮小させる装置を開発
阪神高速 守口線の床版取替でHydro-Jet RD工法の改良版を採用
WJは3工程から構成 基本は機械施工
一部の箇所ではハンドガンを適用
WJによって切削するプロセスは、これまでと同様に3つの工程からなる。先ずは、ノズルヘッドを用いて接合部表面を除去し、スタッド位置を確認した後、次いで露出したスタッド間にノズルを挿入して貫通するまで切削する。最後に、ノズルを横向きに噴出するタイプに交換し、スタッド間に残ったコンクリートを除去するというものである。これらの作業は吊り足場上で行われるが、水養生足場を用いているため、足場下への影響を気にせず施工できる。実際の施工では、添接部や横桁が配置されている一部の箇所ではハンドガンを用いて除去しているが、それ以外は機械施工が実施できている。
大まかな既設床版撤去の際の桁下施工ステップ
WJによる斫りなどのステップ
WJの設置・施工状況①(井手迫瑞樹撮影)
WJの施工状況②
WJの施工状況(ハンドガン施工)③とはつり出したスタッド部
2つに分割した仮補強材を現場で一体化
無収縮モルタルでスタッド周りを連結
次いで、玉出入路での施工同様に、上フランジ上に仮補強材を配置する。補強材の設置位置、個数は、解析によって算出する。仮補強材は分割式になっており、一方を施工者から見てスタッドの背面に配置し、もう一方をスタッドの前面に配置し、それをボルトで締め、固定する。スタッドと仮補強材の間には、可塑性を有し、15時間で40N/㎟の強度を発現する速硬モルタルを注入し、スタッド周りを連結させる。このモルタルは、Hydro-Jet RD工法用に新開発された、デンカ製のハイプレタスコンHSを採用した。
仮補強材(左)分割状況(井手迫瑞樹撮影)、(右)一体化した状況
仮補強材の設置状況
練り混ぜた無収縮モルタルを
注入していく
施工前状況/仮補強材連結完了状況(井手迫瑞樹撮影)
床版撤去にもアームローラーを適用
床版切断は湿式で施工可能
通行止め後の床版の撤去では、UFC床版の架設で使用するアームローラーを初めて適用する。集中工事期間に入り、最初に舗装を撤去した後に高欄を撤去し(34mを8分割する。1ブロック当たり4.5tを想定)、次いで中央分離帯を床版ごと撤去、上下線を3主桁ごとの状態に分割する。そして、アームローラーの耐荷力や車両の安定性を考慮して、撤去版1枚当たり幅7.6~8.6m×長さ1.4m程度、重量5~5.5tにワイヤーソーやロードカッターなどで切断する。切断にあたっては、WJで用いている水養生も十分にできる足場を残置しており、全て粉塵の出にくい湿式機械を使用できるため、施工速度から見ても効率的な施工が可能だ。
スタッドの切断とアームローラーによる撤去(写真は玉出入路施工時)
上下線ごとに床版を24枚(全体で48枚)に分割した後、1枚ごとに仮補強材を撤去し、アームローラーでパネルを吊った形で、桁と床版をつなげているスタッドを残部の高さが10mm以下になるよう溶断する。撤去された床版は、そのまま床版撤去外のエリアまで運び、最後にクレーンで吊り上げトレーラーに搭載し、場外に運び出すことを繰り返す。
48枚全数を撤去とその後の研掃を完了した後、42枚の平板型UFC床版を架設していく。(平板型UFC床版の架設については後日詳報予定)。
クイックパネライトを採用
現場の採光性、透過光を考慮 圧迫感も軽減
足場の防音防護工は、内部脱着式採光防音防護工システム『クイックパネライト』を採用した。同現場は朝顔の高さが7mを超えるため、従来タイプより軽量化する必要があった。採光性がある半透明のプラスチック素材を用いていながら従来と同様の防音性能を満たしており、現場や住居にも透過光が入るため安全に作業でき、外部への圧迫感も軽減できる。ルーバー式開閉機構による通気および換気機構を有しているため台風時などに風抜きを行うことも可能だ。
クイックデッキとクイックパネライト(井手迫瑞樹撮影)
クイックパネライトの内外面状況
WJを用いるため吊足場は防水構造を有する
本工事は、昼夜連続作業となる事から、夜間騒音に関する取り組みも行っている。事前に隣接ホテルから暗騒音を測定し、夜間作業時の各部屋ベランダでの騒音をシミュレーションした。これらの結果から、周辺に対する影響を最小限となるよう、夜間作業時には各種防音対策を行い、工事を実施する予定だ。
元請は飛島建設。一次下請は第一カッター興業(WJ)、福谷建設(補強材の設置・撤去)、サンワクレーン(クレーン)など。(2020年11月10日掲載)