合成桁の切断に「スラブキラー」を試験採用 シースは蛇腹機構を有する
NEXCO中日本 北陸道布施川橋・神谷川橋 合成桁の切断および架設でひと工夫
神谷川橋 延長床版込みで23枚を2日間で架設
床版配置は直角に
新設床版は、延長床版込みで23枚を2日間で架設した。(延長床版は底版施工後)、延長床版も含め、斜角が入っているが床版は直角で並べる。伸縮装置も直角配置とした。布施川橋では添接板を6枚ほど設けて緊張しているが、神谷川橋では両橋台の端部で緊張を架けるため添接板は使用しない。両橋とも標準床版厚は240mm。
神谷川橋の床版架設①
神谷川橋の床版架設②
一方で橋軸方向のPC鋼材量は、神谷川はφ21.8mmを38本配置、布施川橋はφ21.8を16本配置と本数が大きく異なる。
布施川橋も神谷川橋も延長床版が付く構造であるが、延長床版の構造が異なる。布施川橋は場所打ちのRC構造であるためケーブルが減っている。設計計算上、RCの許容値とPCの許容値は異なる。プレキャストPCの場合は目地のところにマイナス応力を発生させてはいけないため、そのぶんだけ多めに緊張力を与えてあげないと、目地がばらけて構造が成り立たなくなってしまう。場所打ちRC構造はマイナスを許容するため、そこで大きな応力上の違いが一つ生じる。
布施川橋の延長床版部(井手迫瑞樹撮影)
もう一つは、神谷川橋では、延長床版自体が通常の標準版と同じような形で、遊間部を超えて並べている。遊間部は斜めになっているため、延長床版にFEM解析を行った結果、大きな応力が発生し、補強鋼材が少ないと応力的に持たないことが予想された。そのためPC鋼材を増やす必要があったのだ。また版厚を増やすという発想もあるが、そうすればクレーンはより大型化しなくてはならないし。下部工への影響も出る。PC鋼材を増やすと床版コストは高くなり、過密配筋の中にPC鋼材を突っ込まなければいけなくなるため、配置の可能、不可能も出てくるが、その長短を考えた結果、今回はPC鋼材を増やす方向に舵を切った。
神谷川橋の延長床版部
モルトメールの内容を工夫
床版パネルと桁の一体化の際の養生は、シールスポンジ(『モルトメール』)を活用した。
スポンジの中身を工夫している。全体を均質な素材にするのではなく、固く撚れない硬質の発泡ポリエチレン部分とスポンジのように伸縮する部分(通常タイプの発泡ポリエチレン)のハイブリッドとした。こうすることで桁と床版の軸をずれなくした。また、寸法を工夫し、桁からの硬質の発泡ポリエチレンの高さを3種類くらい使い分けている。桁と床版の間のモルタル打設高は100mmを上回らず、押しなべて70~80mmで収まるように設計した。
床版パネルと桁の一体化の際の養生は、シールスポンジ(『モルトメール』)を活用
床版防水は、両橋共に高性能床版防水工法(ノバレタンES工法)を採用している。防水面積は布施川橋が630㎡、神谷川橋が450㎡、舗装は高性能舗装を採用しており、布施川橋が665㎡、神谷川橋が475㎡となっている。
床版防水施工状況
舗装施工状況
元請はピーエス三菱。一次下請は床版切断が第一カッター興業、床版撤去・架設、足場施工が北川工業、クレーン及びトレーラーが米原商事、舗装・防水工は鹿島道路。