トラス、支承および補剛桁部1776m2強を塗替え 30年程度の耐用年数を期待
豊岡市 円山川に架かる日置橋の塗替えに無機質・無溶剤型コーティング材『セラマックス』を採用
豊岡市は、同市の円山川を流れる個所に架かる日置橋に無機質コーティング協会の1液性無機質・無溶剤型コーティング材『セラマックス♯1000、♯2000』を採用している。3種ケレン程度で塗り重ねできるため工期短縮に寄与するほか、無溶剤型であるためVOCも削減でき、塗膜の耐久性も高いことが特徴だ。同現場では、下塗りを75μm、上塗りを60μmと2層塗布した。鋼道路橋防食便覧内に記載がない塗料であるが、近年、自治体発注の鋼桁やコンクリート防食などの分野で実績が増加している。耐用年数は30年相当と「Rc-Ⅲに比べて2.0倍程度長く、LCCを縮減できる」(豊岡市)ことから採用した。
同橋は、1975年9月に新日本製鉄が建設した橋長116.6mの鋼2径間下路式単純ワーレントラス橋。2000年3月に一度塗りなおしており、今回は2度目の塗替えとなるが、大きな防食機能の劣化は生じていない。
補修一般図
前回の塗替え仕様および、橋梁の外観状況(今回塗替えない、もう1径間の外観)(井手迫瑞樹撮影)
同橋は円山川渡河部に架かっている(井手迫瑞樹撮影)
今回塗替えの対象になったのは同橋のうち、左岸側の径間で支間長57.4mのトラス、支承および補剛桁部1,776.1m2を塗替えた。また、高力ボルト6,598本も交換した。床版裏面の表面保護工(タフガードスマートMP工法)も合わせて行った。
シルバーグレー色が映える塗り直されたトラス部、添接部もきちんと施工されている(井手迫瑞樹撮影)
塗替え施工はまずグラインダーやワイヤブラシで表面の汚れや錆が生じている個所をケレンした後、刷毛やローラーを使って、補修塗装や下塗りを行った。次いで、2時間程度養生したあと指触乾燥を確認し、上塗りを塗布する。「非常に粘度を有しているため、塗布が難しいなど施工面の難しさはあった」(元請の北近畿緑地建設)が、同塗装を展開する無機質コーティング協会の技術支援もあり、適切な膜厚を確保することができた。塗替え施工は1日あたり4人程度を現場に入れ、1か月強で完了した。
残る1径間も今年度以降に塗替え発注する予定だ。
設計はキクチコンサルタント。一次下請は井上塗装。
(2020年6月16日掲載)