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コンステックとマルイが共同開発 従来の単数電極方式に比べ、施工時間を3割程度短縮

自然電位測定装置『MULCO』 コンクリート中にある鉄筋の腐食環境を1㎡当たり35秒程度の速さで測定可能

公開日:2020.04.06

9個の照合電極を均等に配列してユニット化
 施工時間を3割短縮

 コンステックとマルイが開発した自然電位測定装置『MULCO』が、令和元年10月にNETISに登録された。番号はKK-190021-A。対象はRC構造物全般で、コンクリート中にある鉄筋の腐食環境を1㎡当たり35秒程度の速さで測定可能だ。MULCOは30×30cmの範囲に9個の照合電極を均等に配列してユニット化したもので、従来の単数電極方式に比べ、施工時間を3割程度短縮することで、同じ作業時間でより広い面積を測定することが可能となる。



MULCOの測定機器外観と概要図(以下、写真図表ともコンステック提供)

作業の工数削減、省力化を図る
 自然電位を迅速に測定

 コンクリート内の自然電位は、鉄筋の腐食や、塩化物イオン量の多寡のような、コンクリートの状態によって変動する。一般に鉄筋が腐食しにくい状態にある場合は『貴な電位』、また鉄筋が腐食しやすい状態にある場合は『卑な電位』を示す。
 自然電位を測定し、これらを基に作成したコンター図から卑な電位を捉えることで、鉄筋腐食範囲を推定することが可能となる。

 施工はまず、1箇所程度の鉄筋をはつり出し、鉄筋と電位差計とをケーブルで接続する。測定範囲を噴霧器などで散水養生した後に、コンクリート表面を予め測定の順序を設定した上でユニット化した照合電極を移動させて電位を測定する。従来の単数電極方式(スポット型またはホイール型)では、測定位置のマーキングが必要であったが、MULCOは測定間隔を概ね均等に保つことが可能であることから、マーキングの必要が無く、素早く測定することができる。

広範囲に取得した自然電位の分布から詳細調査範囲をスクリーニング

 コンター図は測定完了後、数秒程度でディスプレイに表示される。図は、青に近いほど貴な電位で、赤に近いほど卑な電位を示す配色にしてあり、一目で自然電位の分布傾向の把握が可能である。赤あるいは黄色の色の個所の鉄筋が直ちに腐食しているとは言えないが、色が赤いほどに自然電位は卑な状況で腐食しやすい環境であると推察できる。そうした個所にてはつり調査などの詳細調査を限定することで、躯体コンクリートへのダメージの低減や工期の短縮化を図ることが可能になる工法と言えそうだ。


測定状況写真/コンター図

構造物とコンター図を合成したイメージ

 MULCOは、既にコンステックが請け負った調査などで使用されており、4月からマルイによりレンタル開始される予定だ。NETIS登録を機に、両社は橋梁などの調査にも同機の積極的な適用を働きかけていく方針だ。(井手迫瑞樹、2019年4月6日掲載)

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