公開日:2020.02.24
【記者の目】
今回の対策は、苦肉の策と言える。拡幅事業や大規模更新事業、財政投融資による新規路線、特殊長大橋の耐震補強など、設計業務を行う建設コンサルタントにとって業務は選別受注できる状況にあり、今回対象となる橋梁耐震補強設計業務は、「採算的に合わないにもかかわらず、手間はかかる」案件として嫌気されていることが、不調不落の多さに示されている。
一方で、耐震補強対策を完了しなくてはいけない期限は定められている。特に対象橋梁の多い名古屋支社は苦境にあり、苦肉の策として、耐震補強としては二度手間になる手法を選択してでも最低限の補強について、期限に間に合わせることを優先したといえる。
本来、JHからNEXCOに移行する際、事業量は減少が見込まれ、そうした見込の中での人員配置や採用計画がなされてきたわけで、昨今の事業量の急激かつ大幅な増加はNEXCO内にとっても、受注する企業にとっても最前線の技術者にとっては大きな負担となっていることは想像に難くない。不調不落の増加に耐えかねて、NEXCO中日本内部では設計業務の内製化を図るため、建設コンサルタントを買収したほうが良いのではないか? という声もあったという。供用し、多数の車が走っている既存ストックの耐震とその他の種類の工事、冷静に議論し、何をどのように優先すべきか今一度問うてみるべきなのかもしれない。(2020年2月24日掲載)