横断勾配は片勾配の5% 継手部をスリムファスナーでつなぐ
床版取替面積は1,589㎡と3橋中最大の面積
新茶屋橋(下り線)
新茶屋橋は、橋長157mの鋼3+2径間連続非合成鈑桁橋だ。非合成鈑桁橋であるが、今次工事で合成桁に構造変更した。それに合わせて主桁補強や支承取替えなどを実施する(右図表)。
上部工の劣化状況であるが、床版厚は210mm。勾配は縦断が2%弱と緩いものの、横断は5%の片勾配とこちらもきつい。床版被り部の剥離や主鉄筋の腐食が進行している他、主桁は塗装が剥離し、負傷が進行している状況下にあった(右写真)。
床版の撤去・架設はオーソドックスなもので、A2からA1方向に220tオールテーレンクレーンを用いて1日に6枚分(撤去ブロックとしては12ブロックずつ、橋軸方向に約12m程度)の撤去・架設していった。架設後はほか2橋と同様に継手部をスリムファスナーでつないでいった。床版取替面積は1,589㎡と3橋中最大の面積となっている。
ドロッとした感じで落ちてくる/スリムクリート拡大写真(井手迫瑞樹撮影)
スリムクリートの混錬設備/スリムクリートの配合表および試験方法(井手迫瑞樹撮影)
間詰部の施工および養生(左:井手迫瑞樹撮影/右:NEXCO中日本提供)
床版取替をしつつ、そのサイクルの中でプレキャスト壁高欄の架設、さらに継手部の施工を行えるように機材を配置し、効率的に仕事が進むよう配慮した。
床版防水は落合川橋同様にレジテクトGS-M工法を用いている。
新茶屋橋施工要領図
舗装切削/既設床版の切断/コア削孔後吊り上げて撤去
床版の架設/スリムクリートを練り混ぜて継手部に打設する
床版防水及び舗設
長期耐久性の確保
エポキシ樹脂塗装鉄筋(長泉パーカライジングと筒井が供給)、コンクリートへの高炉スラグ微粉末の採用、高性能床版防水の設置はもちろん、高欄・地覆、床版と側面の水切り部にはシラン系含浸材を塗布し耐久性の向上を図っている。
床版製作に当たっては、材齢7日まで水中養生の実施。材齢28日まで保水養生テープによる養生を行った。
今後は、主桁補強、検査路の設置、排水装置の取替を行っていく。上田川橋や新茶屋橋では鋼製支承からゴム支承への交換(上田川橋で32基、新茶屋橋で20基)や主桁の補強、下部工の補修も行う。
とりわけ上田川橋は、既存構造物が現行のB活荷重に対応しておらず、主桁の補強が必要になったため、比較的大きな補強量が必要な桁下縁の曲げ補強には炭素繊維シート+CFRPプレート(95㎡)、比較的補強量が小さなウェブのせん断補強にはCFRPシート(200g、400g目付×1層)をそれぞれ施工していく予定だ。
ヤードの確保・交通影響負荷低減
中津川IC~園原IC間の延長は約22kmで、対面通行区間は約3.9kmにおよぶ。同区間内の交通負荷を最小限に抑える必要があるが、路線の外には建設当初に使用されていた側道しかないため、資機材は、全て本線を用いて搬出入した。具体的には中津川エマージェンシーエリアにプレキャスト床版の仮置きヤードを作り、落合チェーンベースに床版の破砕ヤードを設置している。また、恵下沢エマージェンシーエリアにはアスファルト舗装の試験施工ヤードを設け、ここからも資機材の仮置きとして運用できるようにした。
施工会社構成
元請は、大林組・JFEエンジニアリングJV。下請は、落合川橋が岸本建設(床版撤去・架設工ほか)、コンクリートコーリング(床版切断工ほか)、アイチ建運(クレーン)、大阪防水建設社(無収縮モルタル工)、大林道路(床版防水、舗装工)、富士ピー・エス(プレキャストPC床版製作)、ゼニス羽田(プレキャスト壁高欄製作)。新茶屋橋が宮本組(床版撤去・架設工ほか)、第一カッター興業(床版切断工ほか)、アイチ建運(クレーン)、ケミカル工事(無収縮モルタル工)、大林道路(床版防水、舗装工)、トヨタT&S建設(プレキャストPC床版製作)、ゼニス羽田(プレキャスト壁高欄製作)。上田川橋が川口組(床版撤去・架設工ほか)、コンクリートコーリング(床版切断工ほか)、アイチ建運(クレーン)、鎌田メンテナンス(無収縮モルタル工)、大林道路(床版防水、舗装工)、安部日鋼工業(プレキャストPC床版製作)、ケイコン(プレキャスト壁高欄製作)。3橋同時に行うため、バラエティに富む業者構成になっただけでなく、最盛期には職員で24人、職人400~500人が従事した。(2020年2月24日掲載)