LMFC(ラテックス改質速硬コンクリート)を採用
北海道開発局 山水橋のコンクリート舗装を伴う補修とその経過状況
既存コンクリートの斫りは、通常の舗装切削に使う機械を用いて50mm切削した。その後、表面をショットブラストで研掃し平滑化した後、床版の脆弱部を調査した。当初は遊離石灰と錆汁が出ている個所を劣化部と想定し、補修することを考えていた。しかし実際は漏水しているだけでも悪くなっている個所が見受けられ、最終的には全体の10~15%に当たる箇所を全厚ブレーカーで打ち抜き、6時間で所定強度に達するFacetコンクリートで断面修復した。また、新旧コンクリート界面付近には犠牲陽極材による電気防食も施した。
舗装切削状況
ブラスト処理/切削完了状況
床版の劣化を調査し、脆弱部をはつる
はつり終わったあとの床版上面/Facetコンクリートで断面修復
既設コンクリート床版の補修後、舗装を行う前に浸透性のエポキシ樹脂系接着剤で打設する面積全面を塗布した。マイクロクラックの充填と新旧コンクリートの付着性向上を期待したもの。次いでLMFC舗装の打設を行った。舗装厚は50mm。打設量3.5m3を3.5h以内に終わらせるため、1回あたり0.15m3を練れる傾胴ミキサーを2台用いて製作した。さらにLMFCは、常態では可使時間が短いため、硬化遅延剤を添加して1h程度の可使時間を確保した。
プライマー及びボンド塗布作業
傾胴ミキサを使ってLMFCを製作した
LMFCは、人力により夜間全面通行止めして打設した。スランプは16~22㎝。打設面積は146m2で半断面ずつ2日間に分けた。21時から打設を開始し、23時半に完了、表面にほうき目を付けて、6時間ほど養生し、翌朝6時に開放する工程で施工した。
LMFCの打設
ほうき目仕上げを施し、完了した舗装面
施工から2年余り経った現在であるが、見たところ劣化は生じていない(下写真、井手迫瑞樹撮影)。
「要求していた通りに早く施工でき、ひび割れも生じていないので改善点はあまりない」(同)。要因としては高性能な材料であることはもちろん、「条件のいい真夏に施工できた(気温は20℃程度)ことや全面通行止めで十分な強度が出るまで養生できたことが高い品質に繋がった。(半断面同士の)打ち継ぎ目も接着剤を塗布したため、そこからの劣化も生じていない」(同)ということだ。
課題はコストだ。今回は合成桁上でしかも当初からコンクリート舗装が使われていた個所であるため使用したが、「単位当たりのコストがジェットコンクリートの2倍であり、通常の場所で使うには少しハードルが高い」としている。今後、継続的に長期調査を行い、費用対効果の確認を予定している。高い耐久性を有するLMFC舗装のライフサイクルコストの評価と、橋面コンクリート補修での施工対象の明確化が今後の普及のカギとなりそうだ。(2019年11月28日掲載)