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シールドトンネル セグメント坑内搬送ではタイヤ式搬送台車を使用

首都高速道路・横浜市 来年3月開通の横浜北西線の現場を公開

公開日:2019.10.24

 首都高速道路と横浜市は9日、来年3月に開通する横浜北西線の現場を報道陣に公開した。同線は横浜北線と直結し、東名高速道路(横浜青葉JCT)と第三京浜道路(横浜港北JCT)を結ぶ延長約7.1kmの路線で、そのうち約4.1kmがトンネル構造となっている。


横浜北西線概要図(首都高速道路提供)

 公開されたのは、横浜青葉JCTと、横浜青葉本線料金所、横浜北西トンネルの3箇所。横浜青葉JCTでは、地上約30mの出口ランプ上で概要説明が行われた後、JCT全体を見学した。2015年に工事着手された同現場は、昨年12月にランプ橋の40径間の架設が完了。床版と壁高欄の施工も終わり、今後は舗装、付属物等の工事を進めていく。


(左)北西線出口ランプ上から。中央が北西線から東名上りへのランプ
(右)入口ランプ。奥が横浜青葉IC(大柴功治撮影。以下、注釈なき場合は同)

 東名高速道路本線上を跨ぐ出入口ランプ部は鋼床版(厚さ12mm)、出入口ランプ部以外の東名高速道路本線上とランプ橋を跨ぐ箇所は合成床版、ランプ橋直線部の少数鈑桁部はプレキャストPC床版、その他の区間はRC床版(厚さ240mm)を採用した。
 横浜北西線の東名高速道路ランプ橋上の仮設足場は、11月18日から12月6日まで実施される東名高速道路集中工事にあわせて、横浜青葉ICを夜間通行止め(21:00~翌6:00)にして撤去する予定だ。


合成床版の架設(首都高速道路提供)

プレキャストPC床版の架設(首都高速道路提供)

 横浜青葉本線料金所は、横浜青葉JCTと横浜北西トンネル坑口のほぼ中間地点に位置していて、現在、擁壁・土工が完了して建屋の建設が進められている。同料金所には違反車両の排出路も設置された。


(左)右側建屋が首都高速(一般道→北西線)、左側建屋がNEXCO中日本(東名→北西線)の料金所
(右)奥側建屋がNEXCO中日本(北西線→東名)の料金所、中央は北西線から一般道へのルート


横浜青葉本線料金所概要図(首都高速道路提供)

 横浜北西トンネルは、延長約4.1kmのうち約3.9kmがシールドトンネルで、残り約0.2kmが開削トンネルだ。下り線(横浜青葉JCT方面)は横浜市発注で、安藤ハザマ・岩田地崎・土志田・宮本土木JV、上り線(横浜港北JCT方面)は首都高速道路発注で、大成・佐藤・東洋JVがそれぞれ施工している。
 直径12.6m、全長約13m、重量約2,000tの泥水式シールドマシンは、横浜青葉JCT側の立坑から2017年3月に発進し、2018年9月に横浜港北JCT側の立坑に到達した。最大深度は65mに達している。


(左)1.4km付近掘進中の様子(首都高速道路提供)
(右)横浜港北JCT側の立坑に到達後、シールドマシンを解体(横浜市提供)

 施工にあたっては、「延長約3.9kmという長距離を約15カ月間で掘進するという急速施工を求められた」(横浜市)。そのため、高水圧に対応し高推進力を装備した泥水式シールドマシンを採用し、月進平均約300m、最大で日進約20m(1セグメント2m×10リング)を達成した。
 セグメント坑内搬送設備でも工程短縮の取り組みを行っている。通常は、固定レールで搬送を行うが、タイヤ式搬送台車MSV(Multi-service vehicles)を使用した。最大積載量は50tで、セグメント4ピース分を搬送できる(上り線の場合)。これにより、坑内の固定レールが不要になり、内部構築施工後の施設工事を早期に着手することが可能となった。
 さらに、後続台車にセグメントストック兼自動搬送装置を設置し、効率的にセグメントを供給できるようにしたほか、インバートのプレキャスト化や、上り線では合成床版、下り線ではプレキャストPC床版を採用するなどの取り組みを行った。


シールドトンネル施工概要図(下り線/横浜市提供)

タイヤ式搬送台車MSVとセグメントストック兼自動搬送装置(首都高速道路提供)

 内径11.5mのトンネル内部は、床版を境に上部の道路部と下部の避難通路・施設空間の2層構造になっている。上部から下部への避難施設にはすべり台式非常口が採用され、原則250m間隔で設置されている。防災設備では、事故・火災の発生を検知するために100m間隔でテレビカメラ、25m間隔で自動火災検知器などが設置されるともに、水噴霧設備(50m間隔)、消火器・泡消火栓50m間隔)が設置され、火災被害の拡大を防止する。


トンネル内部と断面図(右:首都高速道路提供)

すべり台式非常口

(左)避難通路内部/(右)手前が泡消火栓

 横浜北西線の開通により、東名高速と横浜港の所要時間が現在の保土ヶ谷バイパス経由の約40~60分から約20分に短縮されるほか、災害時の道路ネットワークの強化などが期待されている。

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(2019年10月24日掲載 大柴功治)

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