クロソイド曲線桁を下り勾配で送出し
気仙沼湾横断橋(川口地区) 送出し桁長は52.8m、手延べ桁と合わせた重量は約680t
送出し2mごとに反力管理
設計反力に対して20%以内を維持
17日は午前中に試験引きを6m行った後、午後2時ごろから毎分25cmの速度で送出しを開始して、12m(試験引きとの合計で18m)を送り出した午後4時半ごろに作業を完了した。
6mの試験引き後(大柴功治撮影)
17日の送出し完了時(大柴功治撮影)
反力が変化していくため、P5とP6の反力が設計反力に対して20%以内となるように集中管理室で2mごとに反力管理と各支点の高さ調整を行っていた(実際には設計反力に対して数%の範囲内で収めていた)。集中管理室では、送出し架設用のベント(B3・B5)の沈下・傾斜の計測もあわせて行った。
集中管理室で2mごとに反力管理と各支点の高さ調整を行う(大柴功治撮影)
18日は反力調整完了後、午前9時30分ごろから送出しを毎分50cmの速度で開始。27m地点に到達した段階で、後方台車の反力を小さくするため、予定通り後方台車を開放して、P5、P6の2支点支持とした。午後1時から送出しを再開し、2日間合計で42mを送り出した15時に第1回送出しが完了した。
後方台車の開放作業と開放後(大柴功治撮影)
送出し後の橋軸直角方向の桁落下対策としては、P5とP6に設計水平震度kh=0.3(標準ではkh=0.15)として設計したサイドストッパーを設置している。
サイドストッパー(右写真:大柴功治撮影)
第1回送出し完了時(上写真:大柴功治撮影 下写真:横河ブリッジ提供)
前工程(架設桁の地組)
主桁は横河ブリッジ大阪工場で製作し、石巻公共岸壁までが船便、そこから現場までは陸送した。主桁ブロックが断面方向に4分割されていて、両端部はコの字形、中央はI形のブロック形状で輸送時の変形が懸念されたため、形状保持材を設置して輸送を行っている。
地組は地上に組んだ架台の上に断面方向に分割された4ブロックを組み、断面部材(ダイヤフラムや横リブ)のパイロットホールにピンを入れて、仮組立の形状を再現した。その後、溶接施工用の建屋で上下フランジの現場溶接を行い、断面部材の高力ボルト本締めを行った。橋軸方向8ブロック(1ブロック約45~65t)とした主桁は、6月上旬に500t吊クローラクレーンで各ブロックをP5-P7上に架設し、高力ボルト接合を行った。
仮組立(右写真)/地組立状況
建屋内でのサブマージアーク溶接/地組立完了/高力ボルトの本締め
今後の予定
第2回は9月中旬に72mを送り出し、P4を乗り越す予定。P4到達時のたわみ量が約2,500mmとなるため、横河ブリッジとオックスジャッキの独自技術である手延べ桁先端部のたわみ処理装置を使用する。たわみ処理装置は、内包している油圧ジャッキを伸縮させ、手延べ機先端を上下に回転させることで架設時に生じるたわみを取り除くことができる装置で、P3・P4ではジャッキアップ作業を行うことなくたわみ処理ができ、効率的な施工が可能になる。
たわみ処理装置
10月下旬には80.5mの第3回の送出しにより、P3を乗り越し、11月下旬に44.65mの第4回送出しを行い、P3-P5間の送出し架設が完了する予定だ。
P5-P10間はトラッククレーンベントによる架設で、P5-P9間の架設は完了。P9-P10間は2020年3月に架設する予定になっている。
元請は、横河ブリッジ。協力会社は、ミック(架設・クレーン工)、オックスジャッキ(ジャッキ工)など。設計は大日本コンサルタント。
(2019年8月26日掲載 大柴功治)