門型カルバート構築に向けて跨道橋の撤去と仮設土留め工を実施
NEXCO東日本 上信越道蓬平地区で地滑り対策工事が進捗
仮設土留め工ではH型鋼を166本打設
御所沢橋の撤去完了後は、門型カルバート構築にあたり本線(上下線)を下り線側に約4.4mシフトするために、仮設土留め工に着手した。下り線側の第1のり面を掘削後、2018年10月からH型鋼打設に着手し、1月上旬に完了している。
H型鋼(H-350)は、バイブロハンマーをクレーンで吊下げ、振動力をH型鋼に加えて周辺摩擦力・先端支持力を低減させて地中に慣入させる「バイブロ工法」を用いて、166本を長さ9~12mで打設した。坂城町管理の蓬平橋の下は杭頭制限があるため、鋼管(D508)を8mの長さで9本打設している。
H鋼の打設
鋼管杭の打設(右写真:大柴功治撮影)
その後、横矢板、グラウンドアンカー工の施工に着手し、φ115mmのグラウンドアンカーを1段目に168本(L=10.5~15.0m)、2段目に76本(L=9.0~12.0m)を6月下旬までに打設した。
横矢板の施工
グラウンドアンカー工
5月からは本線シフトにともなう排水管移設のための推進工に着手し、φ600mmで延長299mの掘削を行っていて、10月には完了予定だ。仮設土留め工から推進工の期間は、下り線を1車線規制としている。
推進工
下り線の走行車線を規制して施工された(大柴功治撮影)
試験施工で鋼管基礎杭の先端支持力を確認
門型カルバートの基礎は鋼管杭で、中壁部はφ1,500mmを170本、側壁部はφ1,000mmを436本圧入する計画になっている。長さは当初計画ではセンター部が最大約18m、側壁部が最大約13mだが、本設での杭長決定に際し先端支持力を確認するために、現場で「鋼管基礎杭急速載荷試験施工」を1月から6月まで実施した。全工事終了後に門型カルバートに電気を供給する電気室の場所を試験ヤードとして鋼管杭6本(φ1000 L=13m、17m、21m φ1500 L=13m、17m、21m)圧入し、先端支持力の計測を行った。
鋼管基礎杭の試験施工(大柴功治撮影)/門型カルバート断面図
本線での鋼管杭圧入は、上下線の下り線側へのシフト完了後の11月から着手予定だ。側壁部、中壁部の順番で施工していくが、上下線ともに1車線規制を行っての作業となりヤードが狭小なため、施工では杭の搬送・吊込み・圧入という連続作業をすべて完成杭上で行うことができる「回転切削圧入工法(ジャイロプレス工法)を採用する。
合成頂版施工時には上下線あわせて約100日間の対面通行規制
その後は、鋼管杭圧入が完了した箇所から躯体構築を行い、2021年には合成頂版の架設を予定している。頂版部の躯体構築後に、約18万m3の押さえ盛土工を実施して工事が完了する。全工程を通して車線規制期間が長く、とくに合成頂版施工時は上下線あわせて約100日間の対面通行規制となる。NEXCO東日本では、情報板やWEB、ポスターなどで規制の周知を図るとともに、WEBカメラなどを活用して交通安全の確保に努めている。また、夕方には渋滞が発生する可能性があるために、早めに規制解除を行うといった対策も行っている。
蓬平工事/施工フロー・ステップ図
元請は、フジタ・エム・エム ブリッジJV。協力会社は、宇徳(移動多軸台車)、日特建設(仮設土留め工)、角藤(鋼管基礎杭工)、第一カッター興業(アンカーバー切断)など。
(2019年8月9日掲載 大柴功治)