コーアツ工業が製作・架設の3径間連続プレビーム合成桁
プレビーム振興会 坂戸市発注の森戸橋で現場見学会を開催
プレビーム振興会は4月25日、埼玉県坂戸市でプレビーム合成桁橋の技術講習会および建設中の森戸橋を用いた現場見学会を開催した。同講習会および見学会は、埼玉県内の自治体やコンサルタント、橋梁ファブなど60人が参加した。プレビーム桁は鋼桁、下フランジコンクリートと床版コンクリートが合成された構造。鋼桁に荷重を裁荷し曲げ変形(プレフレクション)を与えた状態で、下フランジコンクリートを打設し、硬化後に荷重を解放することにより、下フランジコンクリートに圧縮力をかける構造。これにより①桁高を低くでき、②変断面の桁形状にも対応可能で、③連続桁により、さらに経済性を発揮できる。④また、平面桁配置の自由度が高いため、複雑な道路線形への対応が可能だ。1968年の初採用以来、道路橋で1,061橋(うち連続桁273橋)、鉄道桁29橋、建築梁101件の実績がある。また、埼玉県内に限って言えば、森戸橋を含めて29橋の実績を有している。
技術講習会および現場見学会の状況
今回、現場見学会で訪れた森戸橋は、橋長117.5m、有効幅員9.5m(車道7.0m、歩道2.5m)の3径間連続プレビーム合成桁橋(5主桁)で埼玉県内では初めて連続桁へ採用された。現在は桁の架設を終え、床版工の準備に入っていた。旧橋は1971年5月の供用後47年が経過しており、老朽化が激しいことや橋梁の両岸に団地や大学などがあるにも関わらず幅員が狭小ですれ違い困難であり、ラッシュ時に渋滞を招いていること、橋脚がパイルベント形式であり耐震性に問題があり、補強するにも現状の橋脚数では高麗川の河積阻害を招いてしまうことから架け替えを選択した。
現橋の幅員はかなり狭小/現橋はパイルベント橋脚を採用している
道路線形(既設道路の現況高さなど)から桁高が橋台部で決まってしまっていることや河積阻害を避けるため支間長を広くする必要があったため、架け替えに当たっては桁高を低く抑制でき(1350~1500mm)、連続桁への採用も可能な同桁が採用された。
森戸橋構造図
現場では、まず桟橋を架設して工事用道路を整備し、全長を11ブロックに分割して製作した桁を最初に架設するJ7~A2間の4ブロックについては桟橋上で接合して架設し、残りは架設の進捗に合わせて左岸ヤードにて接合場所を移動しながら作業を行った。
桟橋の完成/桁接合
架設はまず直下に高麗川があり、ベントが組めないJ7(P2近傍ややP1側)-A2間(支間長35.6m、鋼重51.3tについて、200tおよび220tクレーンで相吊り架設した。次いでP2~P1近傍のJ5-J7間(28.5t)、J3-J5間(27t)、A1~J3間(35.9t)をそれぞれ200tクレーンにより架設した。横桁間隔は約10mごとに配置し、プレフレクションの必要が無い接合部の下フランジを打設した後に、床版コンクリートを打設した。
桁の接合
桁架設状況①
桁架設状況②
ウエブおよび下フランジの配筋
桁架設が完了した状況/コンクリートの打設
今回、その床版コンクリートの打設には協立エンジのアーチ形状埋設型枠『KKフォーム』を採用している。KKフォームはセメントやPP繊維などを真空押出成形法により成形し、高温高圧(6気圧)で養生した埋設型枠。圧縮強度は55N、引張強度は12Nの強度を有するが、鉄筋や粗骨材が入っていないため軽量でクレーンなどを用いず人力で設置できる。型枠の脱型や(木製型枠使用時のような)廃材の処理も必要ないため工期や手間を縮減することが可能だ。加えて、床版下面を被覆するため、塩分や水分などを遮断することができ、塩害や中性化による劣化を抑制できる。コンクリートとの付着面は凹凸形状になっており、高い付着効果も期待できる。
下フランジコンクリートの打設を終え/KKフォームを配置
床版鉄筋の組立状況