SLJスラブの採用
本工事ではプレキャストPC床版にSLJスラブを採用した。継手はエンドバンド継手を採用しており、従来のループ継手と比較して間詰め部を短く、かつ薄くできるため、床版全体の厚さおよび重量を抑制できる。間詰め部のコンクリートは耐久性を考慮して高炉スラグ微粉末入りのコンクリート(50%置換)を採用している。なお、床版の鉄筋および継手部のエンドバンド鉄筋および橋軸直角方向の鉄筋はエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。高欄は現場打ち施工を採用、ここでもエポキシ樹脂塗装鉄筋を用いている。
エンドバンド継手を採用(井手迫瑞樹撮影)/壁高欄鉄筋の組み立て(中日本高速道路提供)
加えて桁端部の騒音振動や漏水による劣化を抑制するため、延長床版を用いる。
延長床版のイメージ/延長床版の架設(中日本高速道路提供。以下写真同)
壁高欄から張出床版の下面にかけてはシラン系含浸材(『アクアシール1400』)を塗付、また高欄の外側および張出床版下部には補修後もコンクリート表面のひび割れなど変状が視認できる剥落防止工(NAV-G工法(UV仕様))を採用する予定だ。
壁高欄コンクリートの養生/伸縮装置の設置
床版設置後の防水工は高性能床版防水(HQハイブレンAU工法)を採用した。
ショットブラストによる橋面仕上げ/高性能床版防水の施工
舗装工
また、足場はエスアールジータカミヤのスパイダーパネルを採用している。
足場はスパイダーパネルを採用した(井手迫瑞樹撮影)
安全対策
平出高架橋床版取替工事現場のもうひとつの特徴は安全対策の充実だ。
同工事における規制延長は約7km(上り線:約4km、下り線:約3km)あり、「対面通行規制を伴う特殊な規制」(NEXCO中日本八王子支社)のため、特設のLED情報板を設置して最寄りのICまでの所要時間や渋滞延長をリアルタイムで表示している。
特設LED情報板は、Bluetoothやモバイルスピードセンサー(以下「MSS」。)と連動している。Bluetoothは同端末を搭載している走行車両のカーナビやスマートフォンの電波を利用し、通過に要する時間を分析するシステム。MSSは速度が40km/h以下の渋滞を自動的に検知するシステム。これらを要所に設置して、特設LED情報板に連動してリアルタイムに最寄りのICまでの所要時間と渋滞延長の情報が表示できるシステムを構築した。
今回は名古屋寄りの中津川IC~園原IC間でも同時期に対面通行規制を行っていることもあり、中津川までの所要時間を合わせて表示した。
また現場で、渋滞や事故などの状況をモニターできるように、八王子道路管制センターとは別に、交通監視室を工事現場付近に設置し、規制区間にウェブカメラを設置して監視している。
交通監視室でいち早く発見した事故や渋滞については、八王子道路管制センターへ連絡を入れ、迅速な初動対応を行うべく連携を図っている。
元請はオリエンタル白石・熊谷組JV。一次下請はTake、コンクリートコーリング、中部クレーン、三井住建道路など。