上部工の追加鋼桁重量は3560t 下部工も全面的に耐震補強
首都高速道路小松川JCT渡河部工事の軌跡
③既設橋脚のラーメン化改築工(P82)
出来上がりを前から見ると、橋脚と梁がまるで恐竜のように感じる。(下概要図)
現状は他と同様A柱、B柱のローソク橋脚だが、この間に梁渡しして新設の連結路を製作する構造とした。一見すると不安定な形状であるが、「中央環状線建設当時からJCT化を見越して補強を施しており既存橋脚も耐力的な余裕は十分に確保していた」(首都高速道路)とのことだ。
工事は①連結路設置に伴う死荷重増加への対応、②橋脚の構造安全性と耐震性の向上、③補強内容と規模の簡素化、④維持管理スペースの確保に留意しながら計画された。鋼重は約300tに達する。既設橋脚との接合には支圧ボルトを使用した。
施工ステップは、まず橋脚下部に仮設ブラケットを取り付け、次いで地組・横取りベント設備を組み立てる。次いで既設橋脚の上部を鎧のように覆う隅角部材(1柱につき前後左右4分割)をベント上で組立て、橋脚間に一夜ベントを設置し、組み立てた部材を横取りおよび縦取りして四方に装着する。
その後中間部の横梁を吊上げ架設し、最後に200tクレーン2台で連結路の梁を一括架設した。
隅角部材を運ぶ横取りおよび縦取り工は、A・B柱間に渡した軌条設備を用いて水平ジャッキ2台により横取りし、さらに縦取り用軌条設備に隅角部材を盛り替えて水平ジャッキ2台により縦取りした。横取り用の机上設備はテフロン板を仕込んでおり、動かしやすくなっている。最大80tの部材を最長で17.5m横取りし、縦取り設備に盛り替えて3.1m(500mm×6回)ジャッキアップし所定の位置に上げて添接する――を繰り返した
次いで橋脚柱間の中間梁を架設するが、非常に限られた空間内(幅5m)に架設しなくてはならない。「本来こういう時はダブルツインジャッキを上方向に仕込むものだが、今回は空頭余裕がないため、逆に固定端を上に持って行き、ダブルツインジャッキをさかさまに付け、PC鋼より線を加えて吊上げた」(IHIインフラシステム)。ダブルツインジャッキは500kN級を4台用いた。吊上げ重量は47.2t。
施工ステップ概要
既設橋脚および増設部材は、基本的に添接による接合構造を採用しているが、一部のフランジなど外に回している部分は溶接で接合する。一番板厚が厚い箇所では50mm近くに達する見込みで慎重に施工した。
④河川水域内新設橋脚の設置
上部工架設に際し、4基の橋脚を中川の河川水域内に増設した。AP3(約54t)、AP4(約85t)、BP3(約199t)、BP4(約213t)。鋼管矢板をウォータージェット併用工法によって圧入する工法を採用した。ついで鋼製アンカーフレームを設置し、頂版コンクリート(高炉スラグコンクリートを採用)を打設、鋼製橋脚柱部を200t台船クレーンにより架設した。なお、現場が汽水環境にあることを鑑みて、橋脚の下部にはステンレスライニングを施し、防食性能を向上させている。
新設橋脚設置工の施工概要