道路構造物ジャーナルNET

国道上への落下防止対策と安全対策を徹底

NEXCO中日本 中央道 調布ICでランプ橋初の床版取替工事

公開日:2018.05.30

新設は場所打ちPC床版で180mm厚
 張出床版にはく落防止シートを使用

新設床版の打設
 新設床版は場所打ちのPC床版で、床版厚は180mmである。既設床版よりも20mm厚くなっているが、すり付けは床版前後の舗装で対応することとした。プレキャストPC床版ではなく、場所打ちを採用したのは、「(本橋は)鋼製桁で端部のスタッドジベルが密であるため、開口部を設けるのが困難で端部から数メートルは場所打ちにせざるを得なくなる。そうすると、橋長が約20mと短いので、プレキャストPC床版を採用するメリットがない」(NEXCO中日本)からだ。また、仮設ランプを設置して交通を確保しているため、短期間施工とせずにすむことも理由となっている。
 4月2日から型枠・支保工の組み立てを開始。スタッドジベルを設置して配筋とPC鋼線の配置を行った後、5月18日にポンプによる打設を行った。鉄筋は普通鉄筋のSD345(D13~D16)、PC鋼線は1S21.8プレグラウドPC鋼材(神鋼鋼線工業)を採用している。コンクリートは強度40N/mm2、スランプ12cmとし、高性能AE減水剤(シーカメント1100NT)を用いるとともに、ひび割れ対策として膨張材(太平洋ハイパーエクスパン)を使用した。


(左)配筋中(撮影:大柴功治、以下、(*)も同)と(右)配筋完了時

コンクリート打設

 また、国道上へのはく落防止対策として、張出床版下面の型枠へ3軸メッシュシート(テクノーラSAMMシート)を敷設した後に打設して一体化している。打設後のひび割れ対策では被膜養生剤を塗布した後に、現場事務所から水を引くことが可能だったので散水養生を行って、耐久性向上に努めている。


敷設された3軸メッシュシート(テクノーラSAMMシート)(*)

養生中

壁高欄と床版防水など
 地覆と壁高欄は強度30N/mm2で、新設床版と同じく高性能AE減水剤と膨張剤を用いて、スランプ12cmで打設する。鉄筋は普通鉄筋だが、壁高欄立ち上がり部と目地部にはエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用している。床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、HQハイブレンAU工法を用いて約135㎡を施工予定となっている。舗装は、基層がFB13、表層が高機能舗装Ⅱ型混合物となる。
 吊り足場はSKパネルを採用。通常、吊りチェーン周りはテープでの養生のみとしているが、はつり作業での国道上へのほこりや細かなコンクリートガラの落下を防ぐために、吊りチェーン周りをすべてウレタンで詰めて、その上からテープを巻くという対策をしている。


吊り足場(*)

仮橋はパブリスを採用
 落橋防止対策として緩衝チェーンを設置

仮設ランプの設置
 今回の施工にあたり、ランプを通行止めにすることはできないため、Hランプループ内からF・Hランプ合流部に仮設ランプを設置した。


仮設ランプ図

 仮設ランプのうち、国道を跨ぐ箇所には橋長26m、幅員8mの仮設橋梁を架設。仮橋は横河ブリッジのパブリス(PABRIS)を採用し、平成28年9月25日午前2時から3時の1時間で、鋼重48.7t(吊り重量59.2t)の上部工を550t吊オールテレーンクレーンで一括架設した。


仮橋はパブリス(PABRIS)を採用した(*)

仮橋の夜間架設。国道20号上の架設となった

 仮橋でも国道上への落下防止対策を行っており、下フランジの間に横構、足場、落下防止板、点検通路の機能を兼ね備えたパネル構造のG-PANELを設置した。また、落橋防止対策として緩衝チェーンを設置し、レベル2地震動に対する耐震性能を確保している。


落橋防止のための緩衝チェーンとG-PANEL

 Gランプ橋の施工は6月末までの予定で、ランプ切り替えを行った後、Hランプ橋の床版取替工事に着手する。床版取替工事後、ランプ運用切替の為に撤去した既設壁高欄の復旧と塗装塗替え(約550㎡)を行う予定だ。
 NEXCO中日本八王子支社では、今後のランプ橋での床版取替工事は未定としているが、「損傷の発生しているランプ橋は他にもあり、利用する方に迷惑をかけないように迂回路となる仮設ランプの設置を検討したうえで、施工していきたい」としている。
 元請はショーボンド建設。一次下請は佐藤組など、二次下請はアクティブ、第一カッター興業など。
(2018年5月30日掲載 大柴功治)

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