アースコート防錆-塗装システム 高耐久性とコスト削減を実現
鳥取県市町村の橋梁損傷傾向と長期防食性を確保する錆転換型防食塗装
施工事例
県道183号鳥取砂丘線の旧袋川に架かる浜坂橋(橋長46.75m、幅員8.3m)では、平成27年12月に同システムでの主桁塗装工事が行われた。
浜坂橋(左:施工前と右:施工後)
同橋塗装工事の施工業者であり、鳥取県内の橋梁塗装工事を長年行っている城東建設によると、「県沿岸部の橋梁はRc-Ⅰでの施工でも再劣化が早く、橋梁によっては施工後半年で再発錆が見られるケースがある」という。とくに「塩分濃度が高い砂が下フランジに堆積しやすく、発錆により下フランジやボルト周りが損傷する傾向にあるとともに、鋼材が腐食するケースがある。このため、施工を問題なく行ったとしても再劣化が生じる可能性があり、対策としては腐食錆の抑制ができて安定錆に転換させるような技術が必要になる」としている。
浜坂橋は、海岸から約1km弱に位置し、重塩害地域・積雪特別地域に指定されている場所に架橋されている。損傷状況は、飛来塩分により主桁鋼材全体に錆が発生していて、鋼材はき裂には至らないが、欠けているところも見られた。また、ボルトも錆びている状態だった。そこで、錆転換型防食塗装を採用することとし、施工後の防食性を考慮して城東建設と行政の判断により、アースコート防錆-塗装システムでの施工を行った。
施工前の状況
施工は、橋梁全体を1日かけて水洗いした後、3種ケレンAでの下地処理と防錆前処理剤の塗布を同日(1日)に行い、防錆塗料の1層目と2層目の塗布を2日に分けて行った。その後、中塗りと上塗りを1日ずつで完了させた。塗装面積は251㎡で、作業は基本5人体制とした。当初、3種ケレンBでの施工を予定していたが、錆の発生面積が大きく点錆も点在していたため、Aでの施工となり、ボルト周りのケレンに苦労したという。
素地調整
防錆前処理剤塗布
防錆塗料(1層目)
防錆塗料(2層目)
中塗り
施工完了
城東建設では半年ごとに施工後の塗装状況の確認をしている。それによると、2年以上経過した現在でも再劣化が生じやすいボルト周りや下フランジは健全で、全体でも錆はまったく見られず、景観も良好な状態を保持しているという。
施工から約1年4カ月経過後の状況
(2018年5月8日掲載 大柴功治)