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1日交通量は3.1万台 ドーリーで運び550tクレーンで架設

阪神高速道路 西船場JCT改築で四つ橋筋を跨ぐ桁を夜間架設

公開日:2018.03.16

 阪神高速道路は、2月3日深夜から4日未明 にかけて、西船場JCT鋼桁及び鋼製橋脚その他工事において、四つ橋筋 を跨ぐ桁部分の550t吊大型クレーンによる夜間一括架設を行った。四ツ橋筋は平日24h交通量が3.1 万台と大阪市道としては有数の交通量を誇る大幹線道路であり、また、桁の地組 ヤードが限られていることから、桁の中間部ブロック31mのみを積載可能荷重406tのドーリー(10軸台車)で運び、550t吊クレーンで架設したものだ。(井手迫瑞樹)


西船場JCTの改築概要(以降、阪神高速道路提供)

架設地と今次の桁架設概要

 架設地は、大阪市西区西本町交差点付近の四ツ橋筋を跨ぐ箇所。橋梁形式としては3径間連続鋼床版箱桁橋で、そのうちの中央径間(98m)のさらに中央部 31mを一括架設した。重交通路線の四ツ橋筋に配慮する必要があるため、夜間の決められた時間内に架設しなくてはならない(22時~翌朝8時)他、現場直下には地下鉄の函体がありその影響を考慮して、ドーリー走行時の舗装面での載荷反力が2.0t/㎡以下になるように架設計画を策定した。


桁架設詳細図(ドーリーの移動およびクレーン架設)

多軸台車による運搬

クレーンの組み立ておよび配置

 ドーリーによる桁の移動は23時30分ごろに開始、中央大通を進み、四ツ橋筋に至る100mを1回の小休止を含め2時間弱で所定の位置に達した。550t吊クレーンは22時半から設置を開始し、1時半には設置を完了、直ちに玉掛け作業を開始、2時半ごろからクレーンによる桁架設を始めた。クレーンは吊上げ後、既に架設している両側の桁の少し上まで移動させ、その後慎重に落とし込み、吊上げ開始から1時間後には所定の位置に桁をおさめた。その後1時間かけて桁添接を完了した。


550tクレーンによる桁架設①

550tクレーンによる桁架設②

 さて、今次の架設は、ベント間に架設する。そのため、ベントの基礎の安全性により留意することが必要だ。


安全対策①

 阪神高速道路及び元請 の横河ブリッジは、安全対策のため、クレーン設置箇所およびベント設置箇所について、地耐力確認に加え地盤の空洞調査を実施するとともに、ベントの最下段にH鋼梁を密に並べ、コンクリート基礎を打設することにより、ベント荷重の分散および地震時水平力に対する抵抗力の増強を図った。また、隣接する門型ベントを水平材で連結することにより、立体ラーメンベントとしている。さらにベント横に既設橋脚がある場合はH鋼を介して既設橋脚と固定し、地震時水平力に対する抵抗を図った。


安全対策②

実際のベント

 加えて、当該桁は、将来の維持管理を考慮して、ボルト接合ではなく溶接構造としており、一括架設後直ちに本接合を完了させることは不可能であった。そのため、一括架設桁の両端の桁を事前に橋脚から架設しておき、ベント間架設後はただちに仮連結固定部材で固定した。溶接構造のため、架設済みの桁と中間部ブロック間の隙間は、設計値で(J11側)6mm +(J15側)6mm、架設時で(J11側)6mm +(J15側)6mm +(セットバック量)20mm、セットフォア量)20mm、架設完了時:(J11側)6mm +(J15側)6mmであった。

 その際は、一括架設箇所のベントが無い状態でも落橋しないように、断面(板厚・ボルト本数)を決定している。
 施工時においては、ベントの傾斜量および沈下量の24時間自動計測を実施し、異常が確認された場合には元請および発注者に自動的にメールが送信されることで危険を未然に防ぐ方策を施していた。


架設後翌日以降の光景

 本工事の製作・架設は横河ブリッジ。一次下請けは、大角建設工業(架設工)、平野クレーン工業(クレーン工)、昇製作所(現場溶接工)。
(2018年3月16日掲載)

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