特殊高所技術で95mの橋脚を目視点検
広島県 日本最大のアーチ橋・広島空港大橋の定期点検を実施
広島県は、広島中央フライトロードにある広島空港大橋の点検作業を平成29年11月中旬から平成30年1月末まで実施した。これは5年に1度定められている橋梁定期点検として、供用後初めて行われたもの。歩行での点検のほか、特殊高所技術や橋梁点検車を使用した目視点検が行われた現場ルポをまとめた。
橋脚8本とアーチ部を約3週間で点検
ヘルメットにライブカメラを装着して安全管理
同橋は、橋長800m、有効幅員19.5mの鋼上路式ブレースドリブ固定アーチ橋(アーチ支間380m)+鋼3径間連続非合成箱桁橋×2で、日本最大のアーチ橋となる。点検対象が橋梁の全延長800mの上下部工であり数量が多いことから、工区を中央から2分割して2工区とした。
広島空港大橋全景と位置図(注釈なきは広島県提供、以下同)
橋梁一般図と点検概要
谷底から路面までの高さが最大約190m、最も高い橋脚が95mであることから、橋脚とアーチ部の点検は特殊高所技術によって行われた。具体的な点検方法は、4人1班体制で路面下に設置された検査路に支点を確保して、橋脚とアーチ支柱を1本ずつ降下しながら目視確認する形で行われた。アーチ支柱間の点検は、支柱間上の検査路から直接アーチリブに降下して目視確認を行った。点検本数は橋脚(P1~P6とアーチ部のAA1・AA2)が8本、アーチ支柱が15本で、橋脚は1日1本、アーチ支柱1本とそれに近接する支柱間を約1日のペースで点検作業を進め、1月中の約3週間で完了させた。
特殊高所技術による点検作業
特殊高所技術の安全管理では、「ヘルメットにライブカメラを装着してもらい、作業を上からタブレットで確認できるようにした」(2工区元請の中電技術コンサルタント)。同時に、今回の作業では発生しなかったが、点検者が損傷判断に困ったときにライブカメラで相談するという使い方も可能になっている。点検での苦労点は、「日本最大のアーチ橋ということで、各部材が大きく、点検作業計画の策定には苦労した」(特殊高所技術担当のループス)ことだった。
点検作業工程表
点検に配慮した橋梁設計
そのほかの点検は、まず11月中旬から12月上旬に歩行での目視確認が可能な検査路周辺部の点検を1工区あたり3人2班体制で実施した。供用が平成23年4月と比較的新しいことから、「点検を意識した設計となっていて、点検設備も整っており、検査路も落下防止の網が張ってあり歩きやすかった」(中電技術コンサルタント)。1月には、箱桁内部の点検が歩行により行われたが、開口部もしっかりとしており、問題なく実施することができたという。
(左)検査路からの点検作業 (右)アーチ部の検査路(大柴功治撮影)
箱桁内部の点検作業