晴海運河渡河部は台船リフトアップ架設を採用
首都高速道路 3月10日開通の晴海線晴海~豊洲間を現場公開
首都高速道路は7日、3月10日午後4時に開通する晴海線の晴海~豊洲間を報道陣に公開した。今回開通する区間は、平成25年度に工事着手をした晴海三丁目交差点付近から開通済みの豊洲出入口までの約1.2km。幅員は3.25m×2車線+右路肩0.75m・左路肩2.5mの暫定2車線となる。すべて高架構造で、晴海側から5径間連続鋼床版箱桁橋(595m)+6径間連続鋼床版箱桁橋(527m)+3径間連続鋼床版箱桁橋(320m)となっている。
位置図(首都高速道路提供)
平面図と側面図(首都高速道路提供)
建設にあたっては、「晴海運河や東雲運河を渡河し、ゆりかもめの上空を通過するなどの施工条件があり、さまざまな工夫を行った」(首都高速道路)。晴海運河渡河部では、一般道・有明通りの有明大橋が両側に近接しており、クレーン船による架設が難しいうえに、西側に環状2号線の橋が架かっているためクレーン船の通行が不可能だった。そのため、台船リフトアップ架設を採用して、横浜で地組みした桁(ブロック長143m、架設重量約1,800t)を台船で架設場所まで曳航し、桁を6m持ち上げて架設を行った。架設日は、平成27年4月22日。
晴海運河渡河部。右側が一般道・有明通り
晴海運河渡河部の架設(首都高速道路提供)
ゆりかもめ上の桁架設は、平成29年7月17日と18日にゆりかもめと有明通りの安全性と利便性を考慮しながらトラッククレーン一括架設で行った。有明通り通行止め後の午後11時ごろに、架設用の550t吊クレーンを架設ヤードに移動し、玉掛作業などの吊上準備を実施。ゆりかもめのき電停止時間の午前1時5分から午前4時までの間に架設済みの桁の間にブロック長約16.5m、架設重量約64t(上り線)・約66t(下り線)の桁を落とし込み、地震などで倒壊しない最低限のボルト本締めまで完了させた。「約3時間という短い時間のなかでいかに効率的に架設を行うかがポイントになった」(同)。東雲運河渡河部は、最初に東雲JCT側の1径間をトラッククレーンベント工法で架設し、その後、東雲JCT側から2径間を送り出し工法で架設した。
ゆりかもめ上の架設(首都高速道路提供)
(左)晴海方面 (右)豊洲料金所上から東雲JCT方面
(左)豊洲料金所から晴海方面 (右)晴海出口
壁高欄はすべて現場打ちで、中性化防止のためのコンクリート防水塗装を採用している。舗装は、基層がグースアスファルト5cm、表層が高機能舗装3cmとなっている。
また、晴海線の桁高が高いことから内部の点検時に足場を組んだり、はしごを持ち込まなければならいために、事前にはしごを桁内に入れておくという今後の維持管理を考えた細やかな工夫も行った。
壁高欄
本区間開通により、並行する有明通りや晴海通りなどの晴海地区全体の混雑緩和や、湾岸線と都心をつなぐ深川線、台場線に次ぐ第3のルートができることにより交通状況に合わせたルート選択が可能になり、アクセス機能の強化が見込まれている。
(2018年2月8日掲載 文・写真:大柴功治)