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既設プレキャストRC床版下面に損傷が発生

NEXCO東日本 上信越道 豊洲高架橋で床版取替工事を実施

公開日:2018.01.22

 東日本高速道路(NEXCO東日本)関東支社は、上信越自動車道の須坂長野東IC~信州中野IC間の豊洲高架橋(上り線)で床版取替工事を実施した。同橋は、日本道路公団時代に工期短縮や将来的な担い手不足対策の取り組みとして、試験的に既設床版にプレキャストRC床版を採用している。その間詰め部の打継ぎ目地の影響から、床版下面の間詰め部近傍に鉄筋露出などの損傷が発生していた。平成7年の供用から22年で高速道路リニューアルプロジェクトの対象となった同橋工事の現場ルポをまとめた。


(左)豊洲高架橋位置図と(右)全景(注釈なきはNEXCO東日本提供、以下同)

床版と間詰め部の境から凍結防止剤を含んだ水が浸透
 下面にひび割れ、はく離、鉄筋露出の損傷が集中

橋梁概要と損傷状況
 同橋は橋長905mのRC+鋼+PC橋だが、今回の床版取替工事の対象となったのは、橋長261m・有効幅員9.25mの鋼4径間連続箱桁橋(P29~P35)のうちの、両端部の場所打ち床版を除くプレキャストRC床版部(250.5m)だ。線形はR=5000のほぼ直橋で、橋軸方向は0.73%のP29側への下り勾配、橋軸直角方向が2%の路肩側への下り勾配である。交通量は約10,500台/日(大型車混入率20.7%)で、凍結防止剤の散布量は年間約29t/㎞となっている。


豊洲高架橋 橋梁一般図

 既設プレキャストRC床版の厚さは230mmで、下部が顎付きの形状をしていて間詰め部は上下縦長の逆五角形状となっていた。過去に防水工の施工がされていないこともあり、その既設床版と間詰め部の境から凍結防止剤を含む水が浸入したことにより、床版下面の間詰め部近傍にひび割れ、はく離、鉄筋露出の損傷が発生していた。床版上面については、走行車線上の右車輪位置に若干の損傷が見られたが、土砂化やひび割れは軽微と判断できる範囲で、ポットホールも部分的だった。


床版下面の損傷

床版上面の損傷

 同時に供用された上り線両端部と下り線の場所打ちRC床版には顕著な損傷が見られないことから、プレキャストRC床版部分のみを取替対象とした。また、塩化物イオン量は床版下面の間詰め近傍で最高値の7.6kg/m3、路面からの凍結防止剤の浸透を受けやすい床版中央部の上面で最高6~7 kg/m3となっていた。

プレキャストRC床版と主桁がスタッドジベルで固定
 手間がかかった上フランジ処理

既設床版の撤去と新設床版の架設
 床版取替工事は、平成29年7月から足場架設、中央分離帯の改良作業などを行い、9月19日~12月5日まで、規制延長4.5km・対面通行規制区間2.2kmの昼夜連続車線規制を実施して行われた。


工事期間中の交通規制図

 既設床版の撤去と新設プレキャストPC床版の架設は、9月29日から作業を開始して昼間に既設床版の撤去作業と上フランジ処理、夜間に新設床版の架設作業を行い、10月15日に完了した(実働16日間)。床版取替面積は約2,700㎡だった。施工は、P31から須坂長野東IC側3パネル分のところを分割点として、須坂長野東IC側を160t吊オールテレーンクレーンで、信州中野IC側を200t吊オールテレーンクレーンで両開きの形で行った。


施工概要

(左)スタッドジベル部のコア削孔 (右)既設床版の撤去

 既設床版は1日当たり8パネル(片側4パネル)ずつ合計106パネル212ブロックの撤去を行った。撤去では、プレキャストRC床版と主桁がスタッドジベルで固定されていたため、φ200のコア削孔でスタッドジベルを上フランジに残す形となり、「撤去後のはつりやケレンなどの上フランジ処理に苦労した」(NEXCO東日本)という。


上フランジ処理

 撤去パネルのサイズは、スタッドジベルの位置により橋軸方向の分割幅が1.95m~2.48mと異なり、橋軸直角方向は2分割を行い5.5m(重量約12.1t)だった。

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