コンクリートガラの大きさを従来比半分に抑制 現場吸引作業を軽減
NIPPO・フタミ・スギノマシン 新型WJ「ツインロータリーノズルユニット」を開発
NIPPOはフタミ、スギノマシンと共同で、WJにおけるコンクリートはつりの性能はそのままに、作業後のコンクリートガラの大きさを従来比半分程度に抑制して、ガラの吸引作業を大きく軽減できる「ツインロータリーノズルユニット」を開発し、現場での試験施工を始めている。同ユニットは『SIP』の課題であるインフラ維持管理・更新・マネジメント技術に参画して、実現した成果。(井手迫瑞樹)
異なるアタック角を有する
実作業時間を増やす
異なるアタック角2本のノズルを同時使用
床版上部の補修において部分打ち替えを行う際、脆弱部はWJにより鉄筋裏まではつり、新しい打ち替え用のコンクリートやポリマーセメントモルタルを打設している。しかし、WJのはつり工程で発生するガラは場合によって直径50mm以上に達することも多く、その大きなガラが原因で吸引除去作業用のホースが詰まり、取り除く時間を多く費やすことを見越して、WJはつり作業時間が短くなることもあった。
今回のユニットはアタック角30°と41°の2つのノズルを同時に使用する。「これにより従来1本ノズルタイプで見られるはつりすぎや、従来2本ノズルタイプで見られるエネルギーの減衰を防ぎつつ、適切に脆弱部をはつりとり(WJレベルはいわゆるNEXCO基準の領域Ⅰの試験に合格)、なおかつガラの大きさを直径25mm強ほどに小さくすることができる」(NIPPO)としている。具体的には60ℓ/minの吐出量を均等に分けて異なる角度から射出して脆弱部をはつりとる。1ノズル当たりの吐出量は少ないため、はつり過ぎず施工でき、はつり深さの標準偏差(施工界面の凹凸)を1本ノズルの半分弱(7.8mm)に抑えることができる。加えて「従来の2本ノズルタイプよりエネルギーの減衰も少なく、効率的に施工できる」(同)としている。
WJの作業状況
コンクリートガラの径(左がツインロータリーノズルユニット、右が従来タイプ)
打ち継ぎ端部ぎりぎりまではつり可能
アタック角可変できる機構も検討
同ユニットは、打ち継ぎ端部ぎりぎりまではつり施工できるため、NEXCOの一部の現場で見られるような端部形状を綺麗にするためのダイヤモンドカッターによる施工がほぼ不要であり、余分な工程やマイクロクラックの発生が抑制できる。ガラの直径が従来比半分になったことで濁水・ガラ吸引作業に要する時間を従来比約半分に短縮でき、人員も同様に従来の5~3人から2~1人に省人化できる見込み。人員減によるコスト縮減は限定的だが、今後の現場工事に従事する作業者の減少を考慮すると「省人化は効果的」(NIPPO)としている。
ツインノズルWJの軌跡/同WJの出来型
ガラ吸引作業を省人化可能
1日1機当たり(実働6時間、はつり厚70mm)の施工面積は210~250㎡ほど。
今後は、現場での試験施工をさらに大規模に行い、1年後をめどに実用化していく方針であり、その際には、現場のコンクリート強度や施工条件に応じて、ノズルのアタック角を可変できるような機構も組み込んでいく考えだ。