NEXCO中日本と首都高速道路は、10月3日深夜から4日未明および11日深夜~12日未明にかけて東名高速道路と横浜環状北西線を結ぶ横浜青葉IC関連の桁架設工事において、東名高速道路を跨ぐ部分の桁を架設する工事を行った。大型クローラークレーンを2台同時使用し、鋼箱桁ブロックを吊上げ架設したもの。クローラークレーンは1,600tと1,250tを使用しているが、1,600t吊クレーンは橋梁架設用としては日本最大級のクレーンで首都高速道路関連の工事では初めての採用。(井手迫瑞樹)
工事全体概要図
極度の精密性を要求
仕口間距離を何度も計測
架設前準備
今回の現場の最大の特徴は、架設する桁と架設済み桁との余裕幅がJFE工区では左右10mmずつしかなく、調整ブロックを使用しないため、極度の精密性を要求される点だ。そのため、下準備として、橋脚架設完了時(5月末)に仕口間距離を計測した結果を考慮し調整ブロックの切断を行った。仕口間距離は計測時の気温、桁温も計測し、製作に反映している。また、9月の(東名高速道路跨道部以外の)左右の桁ブロック架設完了時に仕口間距離を再計測し、その結果を反映して、仮添接板の製作を行った。この際の計測は、宮地・MMB・高田JV工区では、仕口間距離を多点支持状態と支点支持状態の2パターンで行い、実際の架設状況に近い状態で計測し、夜間一括架設時に桁の添接が可能なことを確認した。
また、仕口の角度・高さ調整のためセッティングビームを設置した。大ブロックであるため、落とし込みの時に少しでも角度がずれると先端が触れてしまう。その対応のためフランジにジャッキを用意して、横移動・引き込みを行った。同様の理由で各桁とも仕口部の形状は上面が広角になるようVカットし、上から桁を落とし込みやすくした。
こうした準備が必要なのは、時間的制約があることが最大の要因だが、桁自体も縦横断勾配がかなりついており、a、b、h連結路については曲率半径も小さく仕口が複雑な形状をしているためだ。
架設1回目
3日には、東名高速道路(東京方面)と横浜環状北西線を結ぶh連結路(5径間連続鋼箱桁)のうち、東名高速道路を跨ぐ部分(hp6~hp7間)の一部(J22~J26)37.6mと、横浜環状北西線と東名高速道路(東京方面)を結ぶa連結路のうち、東名高速道路を跨ぐ部分(ap9~ap10)の一部(J8~J13)42.7mについて東名高速道路本線を夜間全面通行止めし、大型クレーンにより吊上げ架設した。
h連結路は、既に両側合わせて24.4 mを架設済みで、桁中間部を夜間に一括架設したもの。桁そのものの重量は186tだが、さまざまな仮設材を合わせた重量(吊上重量)は259tで、所与の条件から、吊り上げてbp4橋脚上を交わし、所定の位置まで東名高速道路上を移動させて、降ろしていく架設方法を取る必要があった。そのため、ブーム長90m、作業半径58mを有し、定格荷重(本現場条件では)305tが確保できる1,250tクローラークレーンを採用した。実際には、東名高速本線上の架設個所まで約90°クレーンを旋回させてかつ桁を90°ほど旋回させて所定の位置に合わせ、架設した。
h連結路概要図(首都高速道路提供)
架設中のh連結路(首都高速道路提供)
a連結路は、既に両側合わせて16.5mを架設済みで、同様に桁中間部を夜間に一括架設したもの。桁そのものの重量は186tだが、さまざまな仮設材を合わせた重量(吊上重量)は308.6tに達し、所与の条件から、いったん架設済みのap10~J13の桁を吊り上げて交わし、その後、所定の位置まで移動させて、降ろしていく架設方法を取る必要があった。そのため、ブーム長102m、作業半径53mを有し、定格荷重(本現場条件では381t)でも余裕のある1,600tクローラークレーンを採用した。実際には30m以上吊り上げて架設済みの桁を交わし、東名高速本線上の架設個所まで約90°クレーンを旋回させて架設した。
a連結路概要図
架設中のa連結路(首都高速道路提供)