覆工補強工でガイナCFシート工法UDタイプを採用
NEXCO西日本 長崎道 日岳トンネルで覆工補強工事を実施
想定していた以上のせめ部の漏水
止水対策工とともに2本の導水管を設置
せめ部の補修は当初、ガイナARC工法による止水工のみを予定していたが、既設のはく落防止材を撤去したところ、予想以上に躯体の損傷が激しかった。そこで、はつりによるコンクリート除去を行った後にガイナARC工法による止水注入を行い、コンクリート除去部表面を適切な乾燥状態にして断面修復を行った。これは上半のひび割れ補修で止水を完全に行ったことで、止水された水がせめ部に流れていることも原因のひとつと考えられた。また、季節による地山からの湧水量の変動が大きく、今回のような補修は初めてのケースだったために、検討を行いながらの試行錯誤の施工となり、計画以上の時間がかかることになった。
(左)せめ部。はつり後の漏水 (右)せめ部の止水対策工
止水対策工では、漏水発生箇所すべてに対して、200mm間隔で止水剤を注入して、断面修復を行った。さらに断面修復を覆う形でシート系接着工法(ShieM-TN工法)での補修を実施した。また、覆工背面からの湧水を適切に排水するため、導水管をせめ部の下(下半部分)に500mm間隔で2本(左右の間隔は1,500mm)設置する工事を行った。下半の導水管は、下半の水位を下げて上半部分までに水位が上昇することを抑制する目的で施工を行った。導水管を設置した箇所に関しては常時湧水によりシート系接着工法が使用できないため、導水機能とはく落対策機能を併せ持つ導水機能付きはく落対策工法(ガイナメッシュ工法Dタイプ)にて施工を行った。
せめ部の止水対策施工中(大柴功治撮影)
せめ部の止水対策施工後(大柴功治撮影)
一週間分の全資材を交通規制開始前の月曜朝に搬入
工期中は、平成28年9月から平成29年10月にかけて混雑期やイベント開催時期を除き、上下線ともに月曜日7時から金曜日18時まで日岳トンネルを含む2kmの昼夜連続車線規制を実施した。車線規制にあたっては、規制期間前と規制期間中に、WEBサイトや、各サービスエリア、パーキングエリアなどで規制告知を行い、規制の周知徹底を図った。
車線規制概要図
車線規制中のトンネル内部(大柴功治撮影)
また、片側車線を供用するなかでの施工であり、多いときには高所作業車が上下線でそれぞれ約10台となることもあった。そのため、「交通規制内に入る工事車両をできるだけ少なくするため、地元の方の協力を得て駐車スペースを現場近隣の公民館などに確保するとともに、交通規制が開始される月曜朝に一週間分の全資材を現場に搬入を行い、作業の安全確保と資材ヤードの効率化を図る」(ケー・エフ・シー)という工夫も行われた。
今回の工事では、止水対策や季節による温度や湿度、漏水の変動に苦労したことから、NEXCO西日本九州支社は「本施工で経験した止水対策、せめ部の処理、施工時期などについて今後の工事に活用してきたい」としている。
元請は、ケー・エフ・シー。協力会社は、エスイーリペア(覆工補強工)、太成産業(はく落対策工)、福地建設(断面修復工・はく落対策工)、ロードファスニング(漏水対策工)など。