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覆工補強工でガイナCFシート工法UDタイプを採用

NEXCO西日本 長崎道 日岳トンネルで覆工補強工事を実施

公開日:2017.10.31

全延長約4,700mのひび割れ止水注入工を実施
 ひび割れ止充填工では約2,400mを実施

 ひび割れ補修工は覆工補強区間を先行し、その後に覆工補修区間を上下線で平成28年10月から平成29年3月にかけて施工した。
 漏水が発生している箇所ではひび割れ止水注入工(ガイナARC工法)が採用され、200mm間隔で注入孔削孔後、注入パッカーを設置して、アクリル樹脂を注入、表面処理を施した。


ひび割れ止水注入工(アクリル樹脂注入)

 覆工補強工と覆工はく落対策工の一部では炭素繊維シート貼付を行うので、その接着を確実にするために、下地処理として漏水を完全に止水しなければならなかった。しかし、「地山の水道や流れる方向が見えないなかでの施工となったことに加え、止水の進捗に応じて覆工コンクリートひび割れからの漏水箇所が変化したことからその状況と痕跡を把握して、止水対策を行うことに苦労した。今後は、事前の止水検討や止水した水の抜け口の検討を詳細に実施したい」(NEXCO西日本九州支社)。そのため、3月までの施工に加えて、梅雨期間中に限定的な補修工を追加で行うこととなった。ひび割れ止水注入工の施工数量は上下線で合計約4,700mもの延長となった。
 炭素繊維補強を行うすべての区間と、部分補修を行う場所でひび割れ幅が0.5mm以下の箇所では、ひび割れ充填工(クイックインジェクター工法)を採用し、注入充填材のエポキシ樹脂をシリンダー注射器で充填した。全体の施工数量は約2,400mになった。


ひび割れ充填工(エポキシ樹脂注入)

トンネル横断方向と縦断方向に2層の炭素繊維シートを貼り付け

 覆工補強工はひび割れ補修と断面修復の下地処理後、上下線約250mの補強区間全延長(約6,800㎡)に炭素繊維シートを貼り付ける形で行われ、工法は炭素繊維シート(200g目付)2層貼りが特徴であるガイナCFシート工法UDタイプが採用された。表面処理後、プライマー、不陸調整剤を塗布し、含侵接着剤で1層目の炭素繊維シートをトンネル横断方向に貼り付け、さらにその1層目の炭素繊維シートに含侵接着剤で2層目の炭素繊維シートを縦断方向に貼り付け、中塗りと保護剤塗布を行うもの。本工法により、覆工コンクリート内面の強化が可能となる。


ガイナCFシート工法UDタイプの施工フロー

 3月下旬から5月中旬に上下線の追越車線、5月中旬から6月下旬に同走行車線で施工を行い、1シート幅3mの炭素繊維シートを日岳トンネルの1スパン10.5mに継手長をとり、横断方向と縦断方向に貼り付けていった。プライマー塗布から保護剤塗布までの1シートの作業日数は5日間。いずれの工程も湿度が高いと施工ができないため、デジタル湿度計を各施工スパンに設置して湿度確認を行ったほか、供用車線側への接着剤などの液ダレ落下防止養生の対策を施した。


(左)1層目シート貼付(横断方向) (右)2層目シート貼付(縦断方向)

(左)右側が1層目シート貼付完了、左側が施工完了 (右)供用車線側への液ダレ落下防止養生

覆工補強施工後(大柴功治撮影)

想定されるはく落の荷重と面積により適切な工法を採用

 覆工補修工のコンクリート片落下対策では、コンクリートの損傷状況により工法を使い分けて施工した。想定されるはく落の荷重が0.5kN以下で面積が1㎡以下の場合は、メッシュネットと表面に高強度のFRP格子筋を組み合わせたネット系はく落防止材の設置(FORCAトウメッシュ工法)を行った。また、せめ部に関しては高バリアフィルムと補強繊維の多層構造繊維シートのはく落防止材を接着(ShieM-TN工法)した。


(左)ShieM-TN工法での施工 (右)FORCAトウメッシュ工法での施工 

(左)ガイナCFシート工法CRタイプでの施工 (右)ガイナメッシュ工法Dタイプでの施工

 はく落荷重が0.5kN以上で面積が1㎡程度以下と想定される場合は、2方向に編み込んだ炭素繊維シートを含侵接着剤で貼り付ける工法(ガイナCFシート工法CRタイプ)を採用。さらに漏水が発生していて、はく落荷重が0.5kN以下と想定される箇所では、漏水の路面への落下も防止するため、塩化ビニル樹脂ラミネートされたメッシュシートとFRP材料の枠材を組み合わせたはく落防止材(ガイナメッシュ工法Dタイプ)を設置した。覆工はく落対策工を行った総面積は、約5,800㎡だった。


覆工補修施工後(大柴功治撮影)
写真上から、FORCAトウメッシュ工法、ガイナメッシュ工法Dタイプ、ShieM-TN工法

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