道路構造物ジャーナルNET

長寿命化と生活道路の整備も重要

仙台市 震災復興とコンパクトシティ・プラス・ネットワークを推進

公開日:2017.09.26

若林地区のかさ上げ道路は30年度末の供用目指す
 津波堆積土砂を活用

若林地区かさ上げ道路事業
 同市の重点事業の一つで、県道塩釜亘理線の東側に6mの盛土を行って、全長10kmの2車線道路を造っている道路事業だ。交差部分も基本的には平面タッチだが、県道荒浜原町線と側道との交差部などはボックスカルバートになる予定。
 一線堤として防潮堤をかさ上げしており、かさ上げ道路が二線堤(内陸側の第二の堤防の役割)の機能を持つことになる。30年度末までの供用に向けて事業を進めており、現在は一部の盛土が完了している。盛土施工中の箇所が大部分で、未着手部分は今秋に着工予定だ。ただし、若干の用地取得が残っている。




若林地区のかさ上げ道路の進捗状況

 東日本大震災では、内陸のJR線では溢水の影響によりの盛土が崩れたところがあった。また、橋梁や高架が無事でも盛土構造が崩壊した個所もある。そのため盛土の一部をコンクリートで補強もしくは表面を吹き付けする箇所もあるが、ここでは、かさ上げ道路の内陸側にある仙台東部道路と同じような形で基本的に盛土材表面は植栽で対応しているただ、部分的には擁壁を立てる可能性もある。
 越流したときに山側の洗掘で盛土が崩れていく事例は東日本大震災でもたくさん見られた。今回、かさ上げ道路として盛土するのは、現道の塩釜亘理線の海側であり、「現道を西側に残すため、越流による掘削対策の役割(土を露出させずアスファルトで覆う)をもたせていることになります」(同市)としている。
 また、盛土下を農業用水路が何箇所か横断している。そうした個所にはフラップゲートをつけて、津波時には水が内部に浸入しにくくしている。東日本大震災時の津波も東部道路のかさ上げ盛土でほぼ止まっているが、昔の津波はもっと奥まで行ったという記録はあるためだ。
 盛土材には津波堆積土砂を処理して使用している。全体の土量は約160万㎥に達する。再生土砂70%、再生骨材30%の比率で使用しており、その品質は試験混合で確認済みだ。混合処理は万能土質改良機により行っている(KK-980012-VE)。EPSや軽量盛土の採用も検討したが、津波が来たときに壊れやすいという構造の問題があり、コストも高くなるため現在の材料を選定した。

高柳4号橋でパネルブリッジを採用

新技術の採用
 市道向原線の高柳4号橋では鋼単純合成版桁にパネルブリッジを採用している。
 また、耐候性鋼材は平成27年度に完成した橋長299mのひより台大橋で使用している。

ひより台大橋では耐候性鋼材が採用された

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