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床版間詰部鉄筋とループ筋に高付着型エポキシ系樹脂粉体塗装鉄筋を採用

東北自動車道 吾妻橋で床版取替え

公開日:2017.07.16

前捌き工事を除く工期は42日間

2.現場(全体工程)
 工期は5月22日から7月2日までの42日間だったが、下り線全面の床版取替えにより工事中は車線を上り線に集約し対面通行にする必要があるため、3月末からGW前にかけてガードレールの脱着、シールコンクリート打設の渡り線前捌き工事を実施した。5月22日から26日朝まで、安全対策のため仮設ガードレールの設置などを行い、車線切替えを実施。既設床版の撤去、PC床版の架設を29日から6月7日までの10日間で行い、高欄など橋梁付属物の設置、床版防水および舗装などを28日まで施工し、完了した後、車線切替えを行った。


車線規制概要図

車線切替え工事/車線切替え後

220tと120tクレーンで1日11枚の床版を撤去、架設

3.現場(既設床版の撤去および取替PC床版の架設)
 床版の撤去・架設は、P3(福島西IC側)からP6までを220tオールテーレンクレーンで、P6からA2(福島飯坂IC側)までを120tオールテーレンクレーンで施工する。床版撤去は総幅員11mを2分割して1ブロック(重量約9t)として施工。架設は総幅員11m×長さ2mを1パネル(重量約18t)として施工し、1日の架設量は、P3からP6側が7枚、P6からA2側が4枚で合計11枚となる。施工機械は、橋面上の2台のクレーンのほか、ストックヤードでの床版積込・積卸用120tクレーン1台、50tクレーン2台、床版運搬用25tトレーラー8台、撤去床版運搬用10tトラック3~4台となる。


床版取替え施工図/要領図



既設床版のはく離と撤去

PC床版の架設

継ぎ手はループ筋を採用
 防食のためにAGスプレーを塗布

 床版同士の継手部はループ鉄筋継手方式を採用している。床版内の鉄筋はすべて高付着型エポキシ系樹脂粉体塗装鉄筋「MK-エポザク」で、ループの曲がり部分と打継部分には防食のためにAGスプレーを塗布している。継手部の間詰めコンクリートの打設箇所は79カ所で、1カ所当たりの打設幅は平均36cmとなっている。PC床版と同じ50N/mm2の膨張剤入り早強コンクリートでの打設をしている。伸縮装置はP3側が鋼製フィンガー、A2側が製品ジョイントを採用した。


継手部。エポ鉄筋にAGスプレーを塗布

壁高欄部の配筋とコンクリート打設

床版防水はグレードⅡを採用

4.現場(床版防水、舗装、その他)
 床版防水は、高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、ニチレキのHQハイブレンAU工法を用いた。
 同工法は床版と防水層の接着材にエポキシプライマー、防水材としてアスファルトウレタン系の樹脂を採用しており、これを床版面と地覆立ち上がり部まで施工する。舗装と防水層の接着層にはポリマー改質アスファルト接着剤と、付着防止剤として珪砂を散布し、地覆部にはトップコートとしてウレタン系の樹脂を塗布するもの。



高性能床版防水工の施工

 その後高機能舗装Ⅱ型を施工、交通安全施設等を設置し、施工を完了した。


施工が完了した吾妻橋(東京側から撮影)

今後15年間で管内112橋梁の必要な対策を行う

5.まとめ
 福島管理事務所の管理エリアである東北道本宮IC~白石IC間には112の橋梁があり、「損傷が激しいと考えられるところから優先的に調査を行っている状況であり、今後15年間かけて必要な対策を行っていく」(渡邊正彦前福島管理事務所所長)ことになる。また「計画的なリニューアル工事を実施するなかで、知見を蓄積してコストや工期の工夫をしていく」(同氏)ことになる。

 詳細設計・施工はIHIインフラ建設が担当した。施工にあたっては東北道綱木川橋と福島須川橋・福島荒川橋のプレキャストPC 床版取替え工事を担当した郡元章氏が現場代理人を務めた。協力会社は、クレーンおよび床版の撤去・架設工事が野田クレーン、鉄筋、型枠、コンクリート打設が大東、福島総建、カクジン、舗装が三井住建道路など。

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