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下の函体に影響を与えず施工

NEXCO東日本千葉工事 国道298号稲荷木橋を48軸×2台の多軸移動台車を用いて夜間架設

公開日:2017.05.01

施工方法の特徴
 多軸移動台車については48軸(12軸、横4両編成)を2台使用している。「架設能力的にはこの半分くらいの規模で良かった」(NEXCO)が、地下に外環道の函体が構築されており、その上部を多軸移動台車が走行するため、一時的にせよ巨大な荷重が函体へ影響するのを防ぐため、荷重を分散すべく大規模な多軸移動台車を採用した。この結果1軸当たりの荷重は15.2t、直下の函体にかかる偏荷重は㎡あたり4t以下に抑えることができた。「最初はこれほどの数のドーリーが集まるだろうか、と心配していた。山九が国内で保有するドーリーを全て持ってきていただき、オペレーターも40人近く派遣していただいた」(同社)。


写真5 多軸移動台車 

 過去に、供用中の京葉道路を通行止めした時(稲荷木跨道橋などの夜間架設時)に路面の計測も行っており、その情報を用いて多軸移動台車の軌跡を描き、多軸移動台車による不陸対応の程度、桁の安定度及び施工タイム等をシミュレーションを実施し、その結果を架設計画に反映することができた。
 多軸移動台車上の設備は11.5mパッキングビームを2列+テーブルリフター3台+リフター上に12mボックスビームを設置して桁を受ける構造とした。起点側の主桁構造が1ボックス(2セル、ウエブは3つある)のため、前方台車では橋軸方向は1点、橋軸直角方向では3点で受け、終点側では主桁構造が2ボックスに形状変化しているため、橋軸方向は1点、橋軸直角方向は4点で、いずれもウエブ直下で受ける構造とした。
 多軸移動台車で一括架設する桁は実際の架設高よりも1m程度高くした状態で移動した。多軸台車の移動距離は外回り115m、内回りが48m。地組ヤードから京葉道路を並行する形で運搬し、架設箇所を超えてから、スライド架設できる方向に回転させて、水平にスライド移動させて架設する径間に差し込んだ。多軸移動台車の移動速度は1m/1分程度。


写真6 水平スライド(外回り)/写真7水平スライド(内回り)

 所定位置に到達後、ジャッキダウンを開始した。ジャッキダウンは最大で約1,000mm。多軸移動台車の移動精度に数cm程度の誤差が生じるため、一括架設前に側径間の桁を起点側に100mmセットバックしておいて間口を広げておいた。多軸移動台車で桁を所定の位置に運びジャッキダウン後、シリンダージャッキでA2側に桁を引き寄せ、さらにA1側のクレビスジャッキでセットフォーし、仮添接作業を行った。


一括架設手順図

写真8 ジャッキダウン(外回り)

 また、製作時には、桁の仕口を楔形(下を狭く、上を広く)にしたことによって架設し易くするとともに、仕口精度は上フランジの出っ張りと下フランジの出っ張りで、±3mm程度の製作誤差に収めた。仕口合わせは様々なフェールセーフを考えて架設に臨んだ。「事前に現場の地組みヤードで多軸移動台車に荷重を受けた状態で少し桁を上げて、たわみも含めた仕口の測量を行い、側径間側もベント開放した状態で測量し、その結果と設計とに、どの程度の誤差があるかを確かめ、想定以上の誤差が生じて設計通りのスプライスではボルトが入らない、という事態が起きた場合には、その測量結果なりのスプライスをもう一度製作し直すという準備はしていた。実際は3mm以内の誤差で納まったので、造り直しまでは行かなかった」(NEXCO)。
 また、既設桁上にはセットフォーなどを行うためのジャッキなど仕込みの設備を当初は起点側(A1~P2)にのみ設備の配置を計画していたが、様々な起こりうるトラブルを考慮し、A1,P1、P2だけでなくP3、P4にも同じ設備を配置し、終点側(P3~P4)も調整できるようにした。架設施工時にはP3側からは10mmほどのセットフォーを行った。


桁架設完了状況(左)内回り桁、(右)外回り桁

 現在はA1~P4までの架設を完了しており、橋面工の施工を行っている。
 P4~A2は工場製作が完了しており、4月からP5橋脚以降の下部工の(上部工への)引き渡しが行われており、桁架設も開始している。閉合は12月を予定している。
 基本設計は大日本コンサルタント。上部工の詳細設計・製作・架設はA1~P4が高田機工・瀧上工業JV。P4~A2が駒井ハルテック。

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