国道16号横断桁を550t油圧クレーンで夜間架設
横浜市 金沢シーサイドライン延伸工事が進む
鉄道近接個所はき電停止時間内に施工
現場の静穏を守るため、騒音・振動対策
施工上の配慮
現場はマンションなど人家が密集する地域にある。そのため夜間架設において、使用機材に全て消音設備のついた機械を揃えた。既設の足場にも音漏れが生じないように防音シートを張った上で施工している。また、場所打ち杭施工時から現在に至るまで定期的に周辺の建物に対して挙動が無いか変位を観測している。
次に鉄道関係に対する配慮であるが、京急金沢八景駅駅舎との直近部のピア(P440)付近の架設作業については、き電停止後1時30分~3時30分の2時間で施工する必要があった。従って、1日の作業量は昼間の通常施工なら4~5ブロック施工できるのが1ブロックの施工となった。日中についても協議の上で影響範囲と判断されたエリアについては近接作業という扱いになり、列車が接近した時にはクレーンによる桁架設作業(120t油圧クレーン)を停止しなければならず、列車監視員を配置し、遺漏が無いようにした。
京急直近部はき電停止後に作業した
シーサイドライン側も、直近部はき電停止時間(1時~5時)内で作業する必要があった。シーサイドライン付近の作業については市道の通行止めを伴う作業になるため、実質5時までの許可を得ていたが、交通開放の関係上4時までに作業を完了させた。
写真14 多軸移動台車による桁移動 /市道部の桁架設
国道16号上は550t油圧クレーンで桁架設
逆回転では時間ロス多し
架設は基本的に施工ヤード内に位置する駅舎部については、120t油圧クレーンにより架設を行う。架設の最大の難所は国道16号を跨ぐ部分である。国道16号は1日交通量約35,000台、大型車交通量は約10%に達する有数の一般国道であり、横浜と横須賀市を中心とする三浦半島地域を結ぶ大動脈である。ここを通行止めして施工しなければならない。現場では上下線および亘り線と3本の桁を合計3夜間、一時的に夜間全面通行止めし、550t油圧クレーンによる架設を行った。
具体的には、深夜1時から場内のヤード内で吊り上げを開始。ヤード内を旋回し、建設中の駅舎部直上を超えてヤード内の国道16号の手前でいったん停止し、通行規制を1時半から開始。規制が完了したことを確認した上で、約15分で桁を所定の位置に落とし込み、その後一旦交通開放する。仮添接が完了した後、午前3時ぐらいに再度一次的に全面通行止めを行い、玉掛けを外してクレーンを旋回させ所定の位置に戻した。
今回、なぜ駅舎直上部の方から回したかというと、「「逆回転」をさせてしまうと通行止めエリアを桁が通る時間が倍以上かかるためだ。交通に大きな負担をかけないため、ヤード内での旋回を行った。協議では1回当たりの通行止めは30分以内にすることが求められたが、実際は15分程度で開放することが可能になった」(JFEエンジニアリング・北日本機械JV)としている。
上り部分の桁架設
写真15 亘り線部分および下り線部分の桁架設(写真)
交通規制時には、50人態勢で臨んだ。2社から警備員を集めたが、指揮系統はJVが把握し、各交差点にもJV関係者を配置した。
床版鉄筋にはエポキシ樹脂塗装鉄筋
コンクリート保護塗装も採用
防食
鋼桁部はC-5系塗装を施工している。コンクリート床版部および壁高欄部には剥落を予防するため、エポキシ系ポリマーセメントモルタルで下地を作り、下・中塗にエポキシ樹脂塗料、ウレアウレタン樹脂を塗り、上塗フッ素樹脂塗料のコンクリート保護塗装を施すコンクリート保護工を施工する予定(タフガードQ-R)だ。また、床版内部の鉄筋にはエポキシ樹脂塗装鉄筋(安治川鉄工製)を全面採用し、塩害に備える方針だ。
現在は、主桁の架設を完了し、足場の組み立てを行っている状況だ。今後床版工や走行路コンクリートなどの施工を行っていく。
単線での供用は平成30年度、複線での供用は現在の仮駅を取り壊した上で、31年度内にそれぞれ予定している。
一次下請は電材エンジニアリング(クレーン・架設)など、二次下請けに谷澤組(架設)など。