大林組などが開発 根固めブロックに
鹿島港湾で海水練りコンクリート+サンドグリップバーを試験使用
大林組が、川熱、朝日工業などと共同開発した「サンドグリップバー」および同社の高耐久海水練りコンクリートが、国土交通省関東地方整備局鹿島港湾・空港整備事務所が所管する鹿島港外港地区南防波堤根固工事の根固めブロックで試験的に使用された。なお、高耐久海水練りコンクリートはNETIS技術の試行調査として同工事で使用された。
コンクリート練りに使用した海水は、当地鹿島港湾内の水を用いた。また、サンドグリップバーは吊鉄筋およびセパレーターに採用している。試験施工は鹿島港外港地区南防波堤根固工事のヤード内で行った。
海水練りコンクリート打込状況/海水練りコンクリート型枠脱型後の状況
今回の現場では、真水練りのブロックとも比較調査を行っており、圧縮強度調査結果では、海水練りの方が真水練りより66~14%ほど強度が高く、若齢材ほど強度の増加が大きい傾向にあることが確認できた。このことにより、真水練りの場合に比べて1日程度早く脱型することができ、工期の短縮を可能にしている。また、そのほかの調査においても、有害なひび割れなどは少なく、良好な品質が確保できることを確認できた。
海水練りコンクリートは粘性が高いため、従来技術よりも慎重な振動締固めが必要と思われる。こうしたことから、海洋構造物の汽水域や水没・露出を繰り返す箇所、塩害地域および凍結防止剤多量散布地域で用いる道路構造物ではフェールセーフとしてサンドグリップバーなどの防食鉄筋を使う蓋然性は高い。
今回の現場では吊鉄筋やセパレーターにサンドグリップバーを用いた
記者は以前、沖縄自動車道の塩化物イオンを多く含む橋脚において、(橋脚の巻立て補強前に)WJではつり出すと、密実に施工された部分では鉄筋がきれいに残っている個所を見たことがある。基本的には、塩分を洗い流した骨材や真水練りでの施工が望ましいが、離島部などではそうした作業が困難な個所もある。そうした場合に用いる技術として(密実に施工することが前提であるが)期待される。(井手迫瑞樹)