エポ鉄筋は「エポザク」を採用 先端にステンレス製のナットを装着
間詰めコンクリートのスランプは18㌢
新しく設置するPCaPCパネルの厚さは既設床版と同じく240㍉。荷重変化は生じない。鉄筋は用宗同様全てコンクリートとの付着性能が高いエポキシ樹脂塗装鉄筋(MK-エポザク)を採用した。
コンクリートは高炉スラグを混入し、塩害やASRに対応している。間詰めコンクリートも高炉スラグコンクリートを採用しており、ひび割れ対策として膨張材を用いている。間詰め幅は合理化継手法式を採用することで280㍉まで短くし、耐久性上弱点になる面積を狭めている。また、継手部の鉄筋端部にはステンレス製のナットを装着しており、これが引き抜き力を分担することで間詰め部の長さを短くすることができている。橋軸直角方向の鉄筋は合理化継手の上下に配置している。なお(主桁上の)ハンチは最小で60㍉、最大で100㍉近く打設している。
塩害およびASR対策
間詰めコンクリートのスランプはほかの箇所で用いられているような12㌢ではなく18㌢を申請し、認められた。ただ、それでもポンプ圧送は100㍍近くあり、「厳しい打設条件」(同)となっている、設計基準強度は、他の現場と同様50Nが要求されている。
端部の台形箇所も含め全てプレキャストパネル化
高欄はDAK式を採用、場所打部を設けず工期短縮
さて、PCaPC床版の配置だが、2.16×10㍍のパネルを直行に製作している。斜角が約65°あるため、端部については台形となるが、これもプレキャストパネル化した。大規模な現場打ちを排し、高い品質を確保するためだ。
プレキャストPC床版の設置(継手はKK合理化継手方式を採用)
また、高欄は両側ともDAK式プレキャストRC壁高欄を採用した。用宗では1ブロック延長2㍍の同高欄を使ったが、今回は延長4㍍のものを使用している。「もともとDAK式の標準は4㍍であり、それに沿ったもの」(同)。一般にプレキャスト壁高欄は縦横断勾配に配慮した精度の点で課題があり、中間に場所打部を設けて調整するが、ここでは「出来上がりの床版の高さを抑えておいて、調整ボルトの高さをいくつに計画するか、それさえきちんとすれば精度的に問題は生じない」と考え、場所打部を設けないで施工するよう計画した。その結果、200㍍弱×両側の延長を2昼夜で全て架設することができ、従来の場所打に比べ工程を6日程度短縮した。またDAK式高欄と地覆を繋ぐ部分の間詰め部分は品質管理のため厚さ12㍉の透明型枠を採用し、打設状況を目視確認できるようにして施工している。
DAK式プレキャストRC壁高欄の架設
DAK式の採用により工程を6日短縮できた/壁高欄の継ぎ目部分
DAK式プレキャストRC壁高欄の接合概要
A1~P5側については、上面の損傷部をはつってショットブラスト(投射密度100㌔/平方㍍)で研掃した後、PD工法を用いて断面修復する。その上で床版取替部と含めて床版全面を高性能床版防水(機械吹付、HQハイブレンAU工法)を施工し、養生後舗装を敷設して橋梁上面のリニューアル工事を完了させていた。
(左)A1~P5側は上面の損傷部をはつってショットブラストし、PD工法を用いて断面修復した(井手迫瑞樹撮影)
(右)ショットブラストは投射密度100㌔/平方㍍で施工した(井手迫瑞樹撮影)
工事上のネックになったのは「雨」(同)。降水が通行規制日数の内3分の1強を占めたため、対応に苦労した。そのため「上面を覆うハウスのような設備を作って雨水の影響を排して施工した」(同)としている。
今後は桁の塗り替えなどの工程を進める。塗り替え対象は桁全面で面積は約7,000平方㍍。ただし、鉛などを含有している可能性があることから何らかの塗膜剥離方法を用いる予定。設計段階は塗膜剥離剤を用いた塗膜除去工法により施工する予定だったが、IH式塗膜剥離機械の採用も検討して行く方針だ。
元請は川田建設。一次下請は今井重機(架設)、東海カッター興業(撤去工)、フタミ(ブラスト)、NIPPO(舗装)、ニチレキ(防水)。足場供給はSKパネル(アルインコ)、無収縮モルタル供給はデンカ。
足場はSKパネルを採用している