九条跨線橋左岸側アプローチに繋がる橋梁を建設
鴨川東岸線「橋梁上に交差点を作る珍しい構造」
吊桁構造を連続化
排水設備の不備や床版防水の未設置で局部的に砂利化も
右岸側
鴨川右岸部は中央径間の瀟洒な鋼アーチ橋に接続する単純鋼I桁+RCT桁立体ラーメン+単純鋼I桁、橋長75㍍部分の上下部補修補強を進めている。最大の特徴はRC部分(P34~P40、50.7㍍)のうちP34~P35間とP38~39間の2か所に吊桁構造を有する(すなわち4か所にゲルバーを有する)ことだ。
九条跨線橋(中央のアーチは鴨川渡河部、左側のシートで覆われている箇所が
今回ゲルバーを連続化する工事を行っている箇所)
工事個所を含む九条跨線橋全体は、昭和12年に架設されたもの。中央部は昭和50年代前半まで京都市電として供用されており、古い旧鉄道橋の常として軌道部の床版厚は280㍉(桁高は600㍉)と厚い。両側の道路部も床版厚は、最小でも210㍉、最大で270㍉となっており、骨材やコンクリートに良質な素材を使っていることも相俟って、広範囲に深刻な損傷はない。但し排水設備の不備や床版防水の未設置(供用開始以来未設置)により、所々で水たまりが生じているようで、局部的に床版の砂利化が生じている。特にゲルバー部および近接部の損傷は比較的酷いものとなっていた。吊桁構造のゲルバー部損傷は放置すれば最悪の場合、片側のゲルバー部が大きく損傷しただけで落橋を招きかねない。
取材当日は、現場打ち施工前の配筋作業を行っていた
幅員を3つに分けて補修、連続化、床版防水の設置、舗装打換
各ステップ1カ月半程度を想定
今回の補修補強工事では、そうした損傷や弱点を解消するため、吊桁部をクレーンで吊り上げ撤去し、支保工足場上で、撤去部分を現場打ちして連続化する。同橋は4車線を有し、歩道も両側に設置しているが、今回はその幅員を3つに分けて損傷部位の補修、桁の連続化、床版防水の設置及び舗装打換を施工する。具体的な施工ステップは①西行きの歩道と車道の一部、②中央の車道部、③東行きの歩道と車道の一部を順番に規制して施工するもの。規制に際しては東西方向とも必ず1車線、歩道も片側のいずれかは確保している。施工は8月のお盆明けから始めており、第1ステップは10月上旬に完了する予定。全ステップとも工期は1か月半程度を想定しており、年末には橋面上の工事をすべて終える予定だ。
また、RCT桁の下面のコンクリートかぶり厚は、20㍉程度と薄い箇所もあり、中性化の進行も見られることから、剥落防止工を兼ねた表面被覆工(タフガードQ-R)を約1,800平方㍍施工する予定。
下部工も耐震性能が現行基準に達していないことからRC巻き立ておよび鋼板巻き立て、横梁部については炭素繊維シート補強(200㌘目付1層)により補強している。鋼板巻き立てを用いているのは市道と隣接するP40。既存道路の幅員を極力確保する目的から鋼板巻き立てを採用した。下部工補強についても年度内に完了する予定。元請は光工業。