道路構造物ジャーナルNET

1200㍍が高架、460㍍がPC・PCaU型ボックス構造

首都高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事の現場を記者団に公開

公開日:2016.06.01

 首都高速道路は30日、同社の大規模更新工事の初弾事業である高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事の現場を記者団に公開した。昭和38年に供用された東品川桟橋区間(延長1,200㍍、幅員17㍍、上部工:RC桟橋構造、下部工:PC杭+セルラー)と鮫洲埋立部区間(460㍍、17㍍、タイロッド式鋼矢板土留め構造)を高架橋形式およびPCPCaU型ボックス構造に更新するもので、平成38年度まで続く大工事となる。東京五輪開催時には、既存道路を使わずに済むよう事業を進める方針。詳細を報告する。(井手迫瑞樹)


既設道路建設時の写真(首都高速道路提供)

建設当時の写真(詳細)

工期を14か月短縮
 幅員を広げ、桁下クリアランスを確保

1、概要
 元請は大林・清水・三井住友・東亜・青木あすなろ・川田・東骨・MMB・宮地JV。総事業費は986億円を見込む。工期は平成38年9月30日までを基準としていたが、14か月短縮し、平成37年7月31日までとしている。更新に際しては道路の幅員を現状の17㍍から18.2㍍に広げるとともに、並行する東京モノレールからの一定の離隔の確保、長期耐久性と維持管理性を考慮し、現道のようなハイウォータレベル(HWL)との桁下余裕高が極めて狭い構造から、12~20㍍の桁下余裕高をとり(海水の飛沫や塩分雰囲気の影響を最小限にし、点検や補修もし易くなる)将来の維持管理性を確保する。住宅地が連坦する区間のため、作業は原則8時~17時の昼間。例外として高速道路の夜間車線規制を伴う作業は上り線が日、月、火曜日の22時~翌朝6時、下り線が水、木、土曜日の20時~翌朝6時としており、舗装切削やコンクリートはつりなど大きな音が出る作業は23時までに限定する。また、東京モノレールに近接する場所での作業は0時35分~4時に限定する必要がある。


1号羽田線更新計画概要(首都高速道路提供)

東品川桟橋部① 右端に見える白い門型構造物の個所付近までが大規模更新の範囲(井手迫瑞樹撮影)

東品川桟橋部②(井手迫瑞樹撮影)

大井水管橋付近

基礎は約30㍍、桁下クリアランスは最大20㍍
 現場工程短縮のため鋼製橋脚、プレキャストPC床版など採用

2、構造
 構造は東品川桟橋部が鋼6径間連続鈑桁×4+鋼3径間連続鈑桁橋で総延長は約1,200㍍となっている。上部工は3主鈑桁(上下線合わせて6主鈑桁となる)でその周りを恒久足場で覆い、維持管理性を担保する。床版は現場工程を短縮するためプレキャストPC床版を採用する。下部工については鋼製橋脚、鋼管矢板基礎を採用している。鋼管矢板基礎を採用したのは、(モノレールや護岸など)周辺構造物への影響を低減するため基礎寸法を縮小できる柱状体基礎を用いる必要があることや、仮締切兼用とすることで現場工程を短縮可能な工法であるため。なお基礎の長さは約30㍍程度。鋼製橋脚は現場工程の短縮のため(現場での配筋や打設の必要のない)採用した。海面からの桁下クリアランスは12~20㍍を確保し、塩害による早期の損傷を防ぐとともに点検もし易い環境を確保している。


現状は海面からのクリアランスがほとんどない(井手迫瑞樹撮影)

更新構造物の概要/東品川桟橋部の更新詳細(首都高速道路提供)

 鮫洲埋立部は、地盤改良を行い、その上にプレキャストU型ボックスを構築する構造を採用している。地盤改良については、現場工程の短縮と周辺構造物への影響を低減するため、従来のφ3,000㍉ではなくφ5,000㍉の大口径の噴射型地盤改良工法を採用する。プレキャストU型ボックスを採用したのも現場工程短縮が主眼。構造としては設置後縦締めおよび横締めのポストテンションを行うためPC構造となる。ここでも鉄筋やPC鋼材は全てエポキシ樹脂被覆タイプを採用するほか、コンクリートの被り厚も塩害に対応し70㍉としている。


鮫洲埋立部の構造詳細(首都高速道路提供)/タイロッド式鋼矢板土留め構造(井手迫瑞樹撮影)

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