デイ・シイ、プレキャストPC床版の新たな接合構造を開発~孔明き鋼板ジベルと超高強度繊維補強モルタルの複合構造~
プレキャストPC床版の接合構造を開発~床版厚を220㍉に薄くでき、接合部長さを150㍉に短縮~
デイ・シイは、NEXCO総研および宇都宮大学と連携して孔明き鋼板ジベル(以下、PBL)と、超高強度鋼繊維補強モルタル(以下、SFRM、混入率は約2.3vol.%)によるプレキャストPC床版(以下、PcaPC床版)の接合構造を開発した。従来のループ継手を有する接合部に比べ、床版厚を220㍉程度に薄くでき、更に接合部の長さを150㍉程度に短くでき、橋軸直角方向の配筋が不要な点が特徴。接合部の施工は、橋軸橋直方向の配筋が不要でSFRMを投入するだけなので工期短縮に寄与するほか、全体床版厚を薄くできるためコスト縮減を期待でき、接合部を短くすることで車両通過時の輪荷重の直接載荷幅を小さくでき、接合部の耐久向上を図ることができる、――などのメリットを有している。(井手迫瑞樹)
本接合構造は、NEXCO各社の大規模更新における鋼I桁RC床版のPcaPC床版への取替工事を念頭に開発されたもの。PBL(高さ140㍉、鋼板厚さは12㍉)はPC床版内部に配置された鉄筋によりしっかりと設置され、接合部においては左右の床版から直角方向に125㍉ピッチで配置されるように設計されている<(右上図がその配置図、下がPBL配置部拡大写真)。ここにSFRMを打設するわけであるが、接合部の幅は上面が150㍉、下面が130㍉となっており楔をつけることで輪荷重による押し抜き抵抗性を強化し、損傷しにくい形状にしている。PBLの孔径もSFRMが確実に回るよう35㍉と比較的大きくしている。このため鋼繊維の拘束効果により鉄筋の配置が不要となっている。
SFRMは、材齢28日の圧縮強度を100N/平方㍉以上になるよう設計している。材齢1日の圧縮強度も30N/平方㍉以上になるようにしており、床版防水や舗装などの次工程が早期に施工できるよう配慮している。一方で乾燥収縮量も打設後91日で200µm程度に抑えており、PcaPC床版との界面剥離が起きないようにしている。
NEXCO3社では、今年度から大規模更新における既設RC床版のPcaPC床版への取替工が本格化するが、同市場に本構造の適用が期待される。
なお、本接合構造は、特許出願済み。