橋脚部は免震支承、橋台部はすべり支承で対応
支承交換
桁の連結(連続化)、免震沓の採用により、桁の動きは大きくなるため、桁端を切断して400㍉の遊間を確保する。
橋脚上部の支承交換は、橋脚上の既存ピンローラー沓は支承高が高いために通常の免震支承に変えられるだけのクリアランスがあるため既存のピンローラーを撤去し、同じ高さ(520㍉)の免震ゴム支承に交換する。交換に際しては主桁を補強し橋脚上に仮設ブラケットを設置してジャッキアップして施工する。
一方、橋台上は非常に支承高さが低い(125㍉)。そのため当初は端部および桁高を切り欠く設計になっていた。しかし、施工するには(縁端が支承設置部分まで達していないため)下からベントを組むしかない。そこまでやって桁端部を改良するとしても端部付近は専用管が配置されているため移設も難しい。そこですべり沓を採用した。同橋の橋脚は耐力に余裕があったため、地震力を分散させて負担すれば十分耐震できることが照査の結果明らかになった。支承を所定の位置に設置するため縁端拡幅(550㍉)してすべり沓を載せる方針だ。
橋台上面にはすべり支承を配置する方針
歩道橋部
(拡幅して架設されている)歩道橋部も車道橋と同じ形式であり、9箇所のゲルバーを有している。昭和50年度の架設であり、損傷は車道橋と比べて進んでいないため、今回同時に連続化施工はせず、補修し、当面の間経過観察を続ける予定だ。
ゲルバー部は2か所ずつ連結する予定
実施工
車道橋の補修補強および耐震補強は6年かけて行う。施工時の前提条件としては、①非出水期(10月~翌5月)施工とする、②施工時の水位は過去5年の最高水位から16.2㍍に規定し、河川内の施工は施工時水位より上に吊足場をかけ仮設桁を設置して仮受し施工する。③資材搬入は夜間交通規制し、橋面から搬入する。④また右岸高水敷部は施工時水位より高く、既設河川内坂路を利用して進入できるため、高水敷から資材搬入し、ジャッキアップ用のベントも高水敷に設置する、とした。
施工フローは左表のとおり。1~4期に支承交換、主桁補強、主桁連結、検査路設置を行い、5期に伸縮装置取替・床版連結、6期に橋脚RC巻立て補強、橋脚梁の炭素繊維シート巻立て工を行う予定。上部工を4期に分けて施工するのは、連結の際、温度による悪影響を起こさない2ゲルバー分ずつに分けて施工していく必要があるため。橋脚梁のASRは終局期と判断されているが安全のため、補修済みのP8、P9と同様の手法で炭素繊維シートで巻き立て、補修と水の侵入抑止対策を施す。歩道橋部の補修は6年後以降に行う方針。
現在は1期目の施工を行っている。詳細設計はオリエンタルコンサルタンツ、1期目の施工はショーボンド建設。