既存ケーブルが腐食、一部が破断
首都高速芝浦地区 橋脚梁部補強用PCケーブルを交換
難しい足場施工
グラウトのはつり考慮すると機械足場では危険
施工上苦労したのは、建築限界がほとんど無い中で足場を設けなくてはいけなかった点だ。当初は、「ある部分においては信号機などの関係もあり、足場をつけるのをやめようとした箇所もあった」(元請の川田建設)。最終的には全て足場を設置することになった。「現場付近では、各種ライフラインなどの工事で夜間街路規制作業が実施されており、足場の設置や外ケーブル部材を架設するための街路規制作業が競合しないように施工を進めていく必要があり、工事調整が大変だった。」(同)としている。
足場を機械足場にしなかった理由は、一度グラウトをはつり(グラウトのはつりは電動ピックを使用した)取らないと緊張力を抜くという作業ができず、はつりは一日ではとても全部取りきれないので、機械足場では、残った部分を桁下(即ち側道や交差点部)にさらすという結果になってしまい危険すぎるためだ。
足場の設置
グラウトはつり工
工事に入ってからも如何に安全に仮緊張、既設ケーブルの除荷・撤去を行うか、施工的な検討を進めていった。
具体的には仮設材は既設ケーブルの外側に仮設ケーブル、仮設定着梁、仮設偏向装置を設けて一度仮設ケーブルに張力を移し替えてから既設ケーブル部材を撤去した。張力の移し替えは既設ケーブルの除荷と仮設ケーブルの緊張を各2基、合計4基の油圧ジャッキを用いて同時に行い、除荷する既設ケーブルの張力と導入する仮設ケーブルの張力の合計が施工前の張力と等しくなるように管理しながら施工している。5MPa毎に仮設ケーブルの緊張・既設ケーブルの除荷を交互に行っていった。
ケーブル除荷・緊張の状況
ケーブルの緊張・除荷と鋼材の伸び・戻り量の関係
工程日数は、足場の設置~解体までおよそ一か月。2セット仮緊張設備を用意し、2橋脚ずつ施工した。1パーティー、5~6人。施工に要する期間は、各種協議や競合工事工程調整等を含め2年程。実施設計付工事発注で元請は川田建設。本工事は1.6キロ区間の支承取換え及び落橋防止装置の設置を行っているその工事の一貫で、走行性及び耐震性向上を図るため一部のジョイントでは単純桁の連結(連続化)も行っており、その結果、ジョイントからの漏水は無くなると予想される。
首都高速道路は「同手法は損傷しているPC桁など今後のインフラ更新においても適用できる工法」(同社)としている。
一次下請は(有)宇野工業所(川口市)、(株)協立メンテナンス、など。
新設外ケーブルが設置された橋脚