開通前にマスコミ向けに先行公開
10月31日に圏央道桶川北本IC~白岡菖蒲IC間10.8㌔が開通
10月31日に新規供用される首都圏中央連絡自動車道(圏央道)桶川北本IC~白岡菖蒲IC間10.8㌔が、16日マスコミに先行公開された。同工区が開通することで、東北道と東名道が圏央道により東京都心を介さず結ばれることになり、移動時間は従来よりも約一時間短縮され、都心の渋滞も緩和される。圏央道は今回の開通で全線約300㌔中、約8割に当たる約240㌔が開通、埼玉県内では昭和60年の事業着手以来、30年を経て県内すべての路線が開通することになった。今後は企業立地の促進や観光産業の活性化など様々な分野で開通効果が出てくることが期待される。
(国土交通省大宮国道事務所提供)
同路線10.8㌔は、桶川北本IC~桶川加納IC間と菖蒲PA~白岡菖蒲IC間8.1㌔を国土交通省が本体構造物、東日本高速道路が舗装(橋梁部の床版防水含む)以降を施工、桶川加納IC~菖蒲PA間2.7㌔は、構造物以下全てを東日本高速道路が施工した。
同区間の構造は橋梁が約7割、掘割構造が約3割を占める。堀割は桶川加納IC以西に位置している。特にJR高崎線と交差する箇所ではHEP&JES工法(水平ボーリングによって削孔した孔にPC鋼線を挿入した後、掘進しながらPC鋼線を引っ張ることで、掘削装置に連結したエレメントを地中に貫入する工法(HEP)と鋼製エレメントを本体構造物とする構造物構築工法を合わせた工法)を採用してトンネル(カルバート)を構築、施工中の直上の線路への影響を回避した。同様に国道12号との交差部ではハーモニカ工法(大断面を小断面に分割し、一台のシールドマシンで複数の断面を繰り返し掘削し、最後に壁を一体化する工法)を採用してトンネルを構築することで地表面への影響を防いでいる。
堀割の地表高との差は概ね7㍍ほどで、縦断勾配は平均約2%、最大でも3%程度となっている。大雨時に水が掘割部に溜まらないように要所に排水ポンプも設けている。また、交差道路の橋梁下面や堀割壁面には予めアラミド製の3軸メッシュシートを貼り付けコンクリートの剥落防止を未然に防いでいる。
JR高崎線の下にHEP&JES工法で構築したトンネル部(左)/三軸メッシュシートで剥落防止
橋梁部で特徴的なのは、上越新幹線を跨ぐ部分の鋼桁と、菖蒲PAまでのバタフライウエブだ。まず上越新幹線を跨ぐ部分は、き電停止から始発までのごく短い期間中に施工しなければならないため、国内最大級の1250㌧吊のクローラークレーンを用いて約70㍍の長さの鋼箱桁を1夜間で一括架設した(桁の設置位置は地表からおよそ21㍍の高さで上越新幹線の送電設備からも2㍍以上の高さに架設している)。なお、新幹線を跨ぐ桁の防食は、その後の塗り替えの難しさを考慮して、高い防食性能(耐久期間が長い)が期待できる溶射工法(亜鉛アルミニウム合金溶射)を採用している。
新幹線上の桁を深夜に短時間で架設(東日本高速道路提供)
バタフライウエブを採用(東日本高速道路提供)
菖蒲PAまでの区間は、支持層が50㍍に達する軟弱地盤であったため、基礎は鋼管ソイルセメント杭を採用している。また、軽量化と工期短縮を図るためPC橋部分はバタフライウエブ(ウエブに蝶型の薄いPCパネルを採用したPC箱桁橋)を採用、セグメントの軽量化による工期短縮を図っている。
鋼管ソイルセメント杭を採用(左)/床版防水はグレードⅡで統一した(中、右)(いずれも東日本高速道路提供)
舗装工は全てNEXCOが担当したが、橋梁の床版防水工は全てグレードⅡ(高性能床版防水)で統一した。