バイオハクリX-WB、ヒートレッドM-1、ブリストルブラスターを活用
NEXCO東日本 綱木川橋で鉛含有塗膜を除去
東日本高速道路東北支社仙台管理事務所は、東北道仙台宮城ICの間近、綱木川や仙台市でも最も交通量の多い路線である国道48号を跨ぐ個所にある綱木川橋の塗装塗り替えに際し、一般部は水系塗膜剥離剤「バイオハクリX-WB」、添接部は電磁誘導加熱装置を用いた塗膜剥離機「ヒートレッドM-1」、隅角部および発錆部はブラスト面形成動力工具「ブリストルブラスター」を用いて塗膜を除去する手法を初採用した。同橋の旧塗膜は鉛を含んでいるためこうした手厚い対策を施したもので東北支社では初めての取り組み。なお、同橋の塗替面積は一般部8,085平方㍍、特殊部835平方㍍の合計8,920平方㍍となっている、それとは別に曲面加工(R面取り)を3,518㍍で行う。工期は平成27年4月15日~28年1月9日までの270日間。
綱木川橋(近景)
鉛分の含有を確認
昭和52年に供用、62年に塗り替え
綱木川橋は、上下線に分離しており、それぞれ約79㍍(幅員は約13~14㍍)の鋼2径間連続鈑桁のランプ部に接続している橋梁で、国道や河川を跨ぐ際の条件からいわゆる斜橋である。そのため桁も単純に直線的なものでなく、異形のものが組み合わさっているよ
同橋は昭和52年に供用され、次いで昭和62年9月に塗り替え塗装を行った。また、平成25年度には同橋において床版の取替工事を施工したが、その際に下フランジや桁端部で錆や一部欠損を確認している。
1回目の塗替えは3種ケレンで行われ、下塗は鉛入り錆止め塗料を用いており、中塗、上塗も乾燥硬化触媒として用いた微量の鉛を含んでいる可能性が想定された。事前に調査した結果、1㌔グラム当たり27,000~29,000mg(重量比2.7~2.9%)の鉛含有が確認され、鉛含有塗膜を除去するための対策が必要になった。
設備類がほとんど要らない塗膜剥離剤を採用
環境、作業安全性を考慮し水系を使用
同社では当初湿式ブラストによる旧塗膜の除去を検討した。しかし、国道上であることから水処理のための養生が困難であること。加えて作業ヤードが狭くブラスト設備や養生水を供給する設備を置くスペースがないことから採用を断念した。合わせてオープンブラストや回収式ブラスト工法も同様の理由から断念し、最終的に設備類がほとんど要らない塗膜剥離剤を用いた剥離工法が採用された。
ケレン工種比較表
塗膜剥離剤の種類は大別して高級アルコール系と水系があるが、今回は水系の塗膜剥離剤を採用した。水系を採用したのは、換気しづらい環境を考慮し、より揮発分が少なく外部環境や内部で従事する作業員への負荷が少ないと判断したためだ。そこで改めていずれも水系塗膜剥離剤であるEPP工法、ネオリバー泥パック工法、バイオハクリX-WB工法を比較検討した結果、「当現場においては①材工コストが一番低く、②剥離剤の効果が良く(剥離効果が高く)、効果が一番長持ちする点を評価し、バイオハクリX-WB工法を採用した」(NEXCO東日本)。