昼夜連続の車線規制で施工
名古屋高速道路 高速5号万場線11万4000平方㍍の舗装を修繕
バルチップをひび割れ防止繊維に採用
複合床版防水は2種類の工法
RC床版の断面修復工(最大深さ70㍉程度)は超速硬コンクリートを使用しているが、それに用いているひび割れ防止用の補強繊維はPP(ポリプロピレン、萩原工業製「バルチップ」)を採用している。通常使用する鋼繊維を避けて有機繊維を採用したのは、「繊維補強する際、毛羽立ちはどうしてもゼロにはできない。後工程の防水層を考慮した場合、鋼繊維ではそうした毛羽立ちが防水層に(破れなどの)悪影響を与えてしまう。有機繊維は柔らかくかつ防水層施工時の熱で(毛羽立ち部分が)溶けてしまうので、防水工の不具合も生じにくい。そのため採用した」(名高速)としている。なお、断面修復工は昼間では収縮ひび割れなどを惹起しやすいことからなるだけ夜間に施工するようにした。
補強繊維にはポリプロピレン製短繊維「バルチップ」を採用した
複合床版防水の施工
複合床版防水は、今回全体で93,700平方㍍施工するが、そのうち5工区(約76,500平方㍍)で電気化学工業の「デッキコート複合防水工法」、1工区(17,200平方㍍)で日東化工の「ノバプロテクト工法」を採用した。いずれも、まず床版コンクリート上面及び路肩の立ち上がり部まで浸透系の樹脂材料を塗布し、次いでその上にアスファルト塗膜系防水材を設置する工法で、浸透系樹脂材料はコンクリートのひび割れに浸透し補修する効果も有する。ノバプロテクト工法は昨年の試験施工を経て、今年度は本工事で採用された。
RC床版にも鋼床版と同様の表面除去工程
ビーストやショットブラストを活用し、表面を綺麗に
昨年度の小牧線リフレッシュ工事と異なっているのは、防水工の前工程の舗装除去工だ。舗装や一部防水工の残滓を確実に除去しつつ、古く比較的薄い床版を傷めないように、まず、切削機で7㎝を切削後、バックホウを使って床版を誤って削らない範囲で慎重に既設舗装を除去した後、鋼床版と同様ビーストやストロングベッカーでできうる限り残滓を除去し、最後にショットブラスト(投射密度1平方㍍当たり100㌔)を施工してさらに表面を研掃している。なお、ショットブラストはRC床版部全面で施工する。防水工についても一部区間では通常無色の浸透材に顔料を混ぜて色付けすることで、施工管理しやすくなるよう試験していた。
名古屋高速道路で初めてRC床版上面にもショットブラストを採用
工夫と今後の改善点
民家にほど近い場所での施工であることから、音の出る工種はなるべく昼間に回し、夜間は断面修復工以下の比較的静かな工種を施工することを前提として、各回1万㎡を超える全床版面にショットブラストが施工できるよう、工区によって床版補修との施工順序を入れ替えるなど、工程を工夫した。
また、今回は車線規制で施工しているが、「施工面、安全面の両方から、来年以降は全面通行規制による施工環境が望ましい」(名高速)としている。
元請は前田道路、大成ロテック、鹿島道路、大有建設、NIPPO、中部土木。