道路構造物ジャーナルNET

西日本高速道路 中国道菅野川橋

45度の斜角を有する菅野川橋の床版取替

公開日:2015.07.21

切断工 床版上下から施工を監視
 上下線の離隔が2㌢程度
  緻密な製作・施工精度が必要

 施工
 「45°という今までにない斜角のため製作・架設そのほかの点で斜角に対する配慮が必要」(オリエンタル白石)なことが前提にある。
 施工手順は左のフローチャート図の通り。施工もさることながら、「施工前の中央分離帯の改良、対面通行規制のため仮設防護柵設置に非常に人員と手間及び注意を要した」(同社)。床版取替えは今回下り線を施工しているが、上り線を対面通行に切り替えた上で下り線の全幅を一括で取り替えている。床版パネルは全部で32本あり、まず既設床版の切断をある程度まで(桁上面の定着部はく離以外を終わらせた状態)行った後に、プレキャストパネルを搬入し油圧ジャッキで4本程度を縁切りし、220㌧オールテーレンクレーンで既設床版を撤去し新しい床版パネルを4本架設するという工程を繰り返して施工する。撤去切断はコンクリートカッターで行うが、勢いあまって鋼桁を切断しないよう事前の対策を徹底するとともに、床版の上下から施工を監視するなど細心の注意を払った。

 また施工に際しては、「上下線の離隔が2㌢程度と非常に近接した状態にあるため、床版ブロックの製作精度、その後の施工精度、スタッドの位置決め精度などは非常に気を付けた」(同)
  その後、壁高欄の鉄筋(エポキシ樹脂塗装鉄筋)、型枠を組み、コンクリートを打設し、養生後シラン系表面含浸材を塗布して完了となる。シラン系表面含浸材にアクアシール1400を採用したのは、「他の材料に比べて許容表面含水率が6%と1%程度高くても塗布でき所定の効果を発揮できるため」(同社)としている。

 同橋のジョイントは鋼製フィンガージョイントを採用していたが、今回、防食性能を考慮してアルミ合金製の製品ジョイント「KMAジョイント」を採用している。ジョイントの設置に際しては、床版端部の補強を目的として桁端の端対傾構を補強している。


離隔は僅か2㌢程度

左から、アスファルト舗装切削既設壁高欄切断、既設床版切断

左から既設床版剥離、床版撤去(中、右とも)

対傾構取替

プレキャスト床版の架設

(写真左)エンドバンド継手/(写真右)間詰め部の配筋

(写真左、中)伸縮装置の設置、(写真右)スタッドジベル

間詰めコンクリートの打設を終えた状況

(写真左)壁高欄の配筋作業、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用

床版防水はグレードⅡを採用

床版防水
 床版防水はグレードⅡ(高性能床版防水、ここでは「HQハイブレンAU工法」)で施工する。床版打設完了後、別途発注している舗装工事の中で施工していく。防水工の精度、品質を少しでも良くするために「床版取替え工段階でできるだけ不陸を解消すべくライナックスなどを用いて表面を平滑化していく」(同社)ほか、防水工の施工直前にはショットブラストを床版上面に施工し付着性能の向上を図る予定だ。

 予備設計は西日本高速道路エンジニアリング関西、詳細設計および施工(元請)はオリエンタル白石、一次下請(床版取替工)は廣内工業、一次下請(既設床版切断)はコンクリートコーリング(大阪)、二次下請(クレーン)は澤田運輸建設。床版防水および舗装の元請は日本道路

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム