床版増厚は層間剥離により損傷
東北道福島西IC~福島飯坂IC間での2橋同時施工による床版取替
220㌧のオールテーレンクレーンを採用
搬出入口は1つ、トレーラーの輻輳に注意
3、現場(既設床版の撤去および新設PC床版の架設)
床版の撤去・架設は両橋で1台ずつの220㌧オールテーレンクレーンを使い福島須川橋はA2からA1側、福島荒川橋はA1からA2に施工する。これは搬入・搬出用の出口が、両橋の中間部1箇所しかないためで撤去床版やプレキャストPC床版の搬出入を行うトレーラーの段取りについては輻輳を招かないよう注意を払った。
(左表)使用した資機材/(右図表)施工ステップ
写真(左)床版の剥離/(右)床版撤去吊上
写真(左)仮置きした撤去床版/(右)新設床版の待機状況
写真 220㌧クローラークレーンを用いて新設床版を設置
また、昨秋の工事と違って今回は約620㍍の距離の離れた2橋を同時に施工するため管理者や監督員を増やすなどして、安全な施工に配慮している。
床版撤去は安全性を考慮して総幅員9㍍を半分の4.5㍍に分け長さ方向2㍍ピッチを1ブロック(重量約9㌧)として施工している。また架設は総幅員9㍍×2㍍を1パネル(重量は約16㌧)として施工している。最後に伸縮装置の撤去・据え付けを行った。
写真(左)新設床版の設置、ループ継手が見える車線/(右)継手部の配筋
継手はループ筋を採用
床版同士の継手部は従来通りループ筋による継手を採用している。次に継手部の間詰めコンクリートを打設した。1カ所当たりの打設幅は平均350㍉ある。これに対して現場では50N/mm2の膨張剤入り早強コンクリートで打設している。なお、桁へのノロを防止しつつ型枠工を省略するため床版下面の繋ぎ目にはポリウレタンフォーム製のシール材(「トメルンダー」)を採用し、作業を効率化している。また、プレキャストPC床版同様に地覆の高さ16㌢までを一体化した構造になるよう型枠を設置した上で打設し、床版と地覆の間の目地をなくしている。間詰め部最外縁の鉄筋は凍結防止剤の散布による劣化を防止するためエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。
その後壁高欄を打設するが、間詰め部と同様50N/mm2の早強コンクリートを使い、壁高欄の誘発目地部(Vカット目地)箇所にエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。そして最後に伸縮装置を交換、同様に間詰め部(床版隣接部は1,000㍉、土工隣接部は500㍉)を施工した。
写真(左)壁高欄部の配筋、間詰めコンクリートの施工/(右)_壁高欄部のコンクリート打設
床版防水はグレードⅡ
4、現場(床版防水、舗装、その他)
床版防水は、高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用している。具体的にはニチレキのHQハイブレンAU工法を用いた。同工法は床版と防水層の接着層にエポキシプライマー、次いで防水層の主材としてアスファルトウレタン系の樹脂を採用しており、これを床版面及び地覆立ち上がり部まで施工する。次いで舗装との接着層にはアスファルト系の接着剤および珪砂を散布し、地覆部にはトップコートとしてウレタン系の樹脂を塗布するもの。その後高機能舗装を施工、交通安全施設等を設置する予定だ。
詳細設計・施工は昨秋同様IHIインフラ建設が担当した。一次下請は野田自動車工業所、福島総建、葵建設工業など。