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堀切・小菅JCT間約560㍍を4車線化

首都高速道路で免震と制震を合わせた橋梁全体の耐震設計を採用

公開日:2015.05.16

3基は橋軸方向に対になるよう増杭補強
 11基は上面増厚

 基礎の補強はレベル2地震動に対して、既設桁の曲げ耐力・せん断耐力が不足する3橋脚に対しては鋼管矢板井筒基礎を用いた増杭補強、レベル2地震動に対して既設フーチングの曲げ耐力が不足している11橋脚には、フーチング上面の増厚補強を行う。増厚部の面積は既設フーチングの半分程度に抑えている。
 増杭補強は「普通に考えると既設と同様に場所打杭を用いて既設フーチングを取り囲むように増杭をするのがベスト」(首都高速道路、以下かぎかっこ内同)だが、現場は用地の制約があるため、橋軸直角方向に(基礎補強が)拡大することは許されない。そのため橋軸方向に対になるように5㍍真角の鋼管矢板井筒基礎(φ800㍉径×16本)を既存橋脚の両側に配置し、配筋後コンクリートを打設して既存フーチングと剛結させることで(フーチングの面積を広げて)補強効果を発揮する。増厚補強は基礎フーチングの上面に500~1,000㍉のコンクリート増厚を行う。増杭部(フーチング増設部)は「マスコンクリートになるため温度応力解析などを綿密に管理しながら施工した」(同社)。

2カ月間は土の搬出入に費やす
 WJで付着性能を担保

 工事(基礎工)
 基礎工は堤体を兼ねる膨大な背面土砂を除き、施工が堤体に影響を及ぼさないよう土留め用の鋼管矢板を設置することから始まる。掘削土量は実に19,500立方㍍、埋戻し土量は17,700立方㍍に達する。工期は渇水期の約半年間に限られているが、土砂の搬出と補強後の埋め戻し土砂の搬入および施工に各1カ月ずつの期間がかかる。即ち残り5カ月で補強をしなくてはいけない。


    補強はまず膨大な背面土砂の掘削から始まる(左)、掘削土砂の量は19,500立方㍍におよぶ(右)   

 また、増杭は鋼管杭を採用しているが、現場の桁下クリアランスは約8㍍しかない。しかし同地は河川が近くにある軟弱地盤のため基礎は40㍍に達する。そのため杭を分割して施工するとともに、溶接継手によりつなげた。また掘削工法はWJ併用型鋼管圧入工法を採用、中堀圧入ができない空頭高さの中で、効率よくしかも付近への騒音・振動を少なく施工している。また、増杭部との既設フーチング剛結面または増厚コンクリート打設前の既設フーチング上面はWJにより表面をはつり、脆弱部を除去、不陸をなくすことで剛結・増厚コンクリートとの付着強度を高め、確実に補強効果が出るよう配慮している。


                     WJにより表面をはつり、脆弱部を除去、不陸をなくす

              補強が進む基礎工

200㌧規模のFC船を用いて架設予定

 工事(下部工)
 今後、既設梁の補強は門型橋脚の根元から梁の先端を結ぶような斜め状の鋼板を両側にウエブ状に配置し、高力ボルトで締めて補強する。次に新たに拡幅用の鈑桁が載る先端部のみ箱状の梁を配置する。箱上の梁(と次に施工される拡幅桁)は200㌧規模のFC船を用いて架設される予定だ。
 また、鋼製橋脚の補強にあたっては、「応力超過部分に板をあてて補強するとともに隅角部には斜め状の補強鋼板を設置することで面積を稼ぐとともに、地震時の力の流れを円滑にすることに注力する」とともに、補強鋼板の量を最小限に抑えている。
 土被り部にはさや管を新設した。これは堤体背面土と縁切りし、揺れを抑えることで盛土に対する地震時の作用を最小限に抑制することを目的にしている。


       土被り部にはさや管を新設

乾式のワイヤーソーを採用
 WJで表面をはつり施工

 拡幅桁・床版
 下部工を施工した後に既設の床版の一部および地覆・高欄を切断し、拡幅桁および床版を架設する。具体的には現行の供用車線を1車線あたり15㌢ずつ縮めて桁上に施工ヤードを確保し、端部の地覆や高欄を切断する。切断に際しては騒音や振動に配慮して乾式のワイヤーソーで施工する予定だ。
 また、床版の打継ぎ目のはつりはWJを用いる予定だ。床版形式はRCと鋼床版で異なるため、穴あきジベルにより継手してRC床版とコンクリート床版を一体化する。

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