約32万㎡の床版防水工を約6ヶ月という短期間で完了
首都圏中央連絡自動車道 幸手舗装工事における高性能床版防水工の施工
4.本施工 本施工における施工フローを図-2に示す。
図-2 施工フロー
4.1 事前調査
事前調査では、床版面の状態を確認し、引張接着強度(写真-1)およびサンドパッチング法(写真-2)によるキメ深さの測定を行った。なお、施工初期の平成26年10月に被膜養生剤の影響と推定される防水材(床版用接着材を含む)の剥がれが発生したため、引張接着試験に関しては、図-3に示すとおり1橋梁あたりの実施個所数を当初の5箇所から8箇所に増やし、かつディスクサンダー研磨の有無による引張接着強度の差を確認することにした。
<
写真-1 張接着試験状況 写真-2 サンドパッチング法の試験状況
図-3 引張接着試験およびサンドパッチング法の実施箇所
(1)引張接着強度
引張接着強度について任意で抽出して分析した結果を図-4に示す。引張接着強度の平均値はディスクサンダーによる研磨の有無に関わらず3.9N/平方㍉であり、NEXCOの規格1.2N/平方㍉以上を大きく上回っていた。ただし、引張接着強度が規格値に近い1 ~2 N/平方㍉となるデータ個数は、研磨なし(35件)が研磨あり(10件)の3倍以上であった。
この様にNEXCOの規格1.2N/平方㍉以上を満足していても、ディスクサンダーによる研磨で引張接着強度が改善する箇所が認められたため、「研磨の有無による引張接着強度の差」「試験時の破壊形態」の2項目を重要視した床版下地処理判断基準を作成した。この基準を満たさない箇所については、NEXCOの引張接着強度の規格を上回っていたとしても、ライナックスによる機械研磨を行った後に床版防水工を行うことにした。この基準を運用してからは、防水材(床版用接着材を含む)の剥がれが発生することはなかった。
図-4 床版の引張接着試験結果
(2)キメ深さ
キメ深さについて任意で抽出して分析した結果を図-5に示す。キメ深さは、平均で0.2㍉、最大で0.58㍉であり、NEXCOの規格1㍉以下を満足していた。
図-5 床版のキメ深さ測定結果
4.2 事前処理
事前処理では、局部的な凹凸(コンクリートのジャンカや段差など)の補修を行い、事前調査の引張強度試験の結果により必要となった箇所について機械研磨を実施した。機械研磨による下地処理状況を写真-3、研磨後の表面状態を写真-4に示す。機械研磨の実施後、引張接着試験を行った結果、引張接着強度の平均値は4.0N/㎜2、最小値は1.6 N/㎜2とNEXCO規格1.2N/㎜2以上を満足していることを確認した。
写真-3 ライナックスによる機械研磨の状況 写真-4 機械研磨後のコンクリート表面状況
4.3 構造物の養生工
床版用接着材および防水材を散布方式で施工する際は、材料の飛散が避けられない。したがって、従来は高欄部分をすべてマスカー(幅広ビニール+ガムテープ)などで汚れないようにすべて養生していた。当該工事では、地覆部を施工する際の材料飛散を抑制するため、以下に示す特徴を持つ「可動式養生カゴ」を製作した(写真-5)。この導入により施工能力が大幅に改善した。
■ マスカーによる養生を行わずに施工できる(養生は端部のガムテープのみで済む)。
■ 鳥カゴ式であるため、高欄以外にも材料の飛散防止効果が見込める。
■ 施工が延期になった場合でも、養生の撤去および再設置の必要がない。
■ 養生カゴの両側に各2個のキャスターを付けることで持ち運びが容易である(写真-6)。
写真-5 可動式養生カゴ 写真-6 養生カゴの可動部(キャスター)
【関連記事】
工法・材料ライブラリー内 「HQハイブレンAU工法」