関西圏で初めて浸透性プライマーを採用
神戸大橋取付部で予防保全的に床版増厚
神戸市みなと総局は、神戸大橋の本土側取り付け部上り線(神戸市中央区新港町4(第4突堤部)の単純鋼I桁2連(29.5㍍×2、幅員22㍍)のRC床版に対し、超速硬鋼繊維補強コンクリート(以降、SFRC)上面増厚による補強を行った。供用後45年が経過しており、大型車交通量も多く、床版厚も現行規定より薄いことから、ひび割れによる損傷が発生している可能性を考慮し、ひび割れに含浸・浸透するエポキシ樹脂系の浸透性プライマーを前面に塗布する仕様を採用した。同プライマーの適用は関西圏初であり、増厚工法の中での全面塗布仕様は全国でも初めて。
浸透性プライマーと床版増厚用接着樹脂の塗布
同橋は昭和44年に供用された橋梁で、交通台数は片側1万~1万2,000台、大型車交通量は2,000~2,400台となっている。一方で、当時の道路橋示方書で製作されたRC床版は19㌢厚しかない。対象となる径間のアスファルト舗装は、平成11年を最後にオーバーレイしておらず、ポットホールが生じたことで、今回16年ぶりに打ち替え、同時に床版を1㌢切削して5㌢上面増厚して予防保全的補強を行った。
対象面積を3分割して施工
床版増厚および舗装打替え工は、約1,300平方㍍を3分割して各々1週間ずつ昼夜連続規制して施工した。具体的には1回目が本線の西側2車線、2回目が本線の東側2車線とランプ橋部の1車線、3回目に最後のランプ橋部の1車線を施工した。
手順は月曜日に規制および切削し、火曜日に床版上面を点検、水曜日に劣化個所下面の落下防止養生を行い、木曜日に局部的な床版コンクリート上面の浮き・剥離部を浸透性プライマーおよびエポキシ樹脂系接着剤を適用して断面修復し該部全面をショットブラストで表面研掃し、金曜日に浸透性プライマーおよびエポキシ樹脂系接着剤を2層で床版全面に塗布、引き続きSFRCを床版上面に打設し、アスファルト塗膜系防水工(「カチコートX」および「フレッシュコート」)、すりつけ部には複合防水工法を採用)を施工、表層のアスファルト舗装を厚さ35㍉で敷設し、土曜日朝には交通を開放――というもの。
ショットブラストは1平方㍍あたり150㌔の投射密度で施工した