アーチアバット部でアップリフト対策
2㍍程度の高さのブラケットを設置
また、サイト波によりアーチアバットの個所に最大約1,555kN(上りA1-G2)のアップリフトが生じることが分かったため、フェールセーフ構造として補強を行っている。具体的にはアーチアバットの下側に高さ2㍍程度のブラケットおよびピン材で構成された負反力対策構造を新たに設け、アップリフトを抑制する。
アーチ基部(左)、支承部(中)、支承部近傍を上から見ると若干腐食していることが分かる(左)
フェールセーフ構造
RCラーメン部で塑性化を確認
耐震壁を増設して対応
一方、RCラーメンは非線形動的解析により現況照査を実施したところ、縦壁断面で塑性化が確認された(RCアーチ部材は非線形性を考慮していないため、参考値となるが降伏曲げの2倍程度の応答曲げが作用した)ため、橋軸方向にRC耐震壁を2枚増設することでアーチ・縦壁の変形を抑止する構造を採用した(既設アーチリブの巻き立て等補強は困難であるため)。耐震壁の厚さは700㍉から最大1100㍉に達する。
RCラーメン部
現状は足場をかけて各所の点検業務や腐食している高力ボルトの取替などを行っている状況だ。
A1は基礎工耐力の2.5倍に及ぶ地震応答値が作用
斜角も厳しく左右でたわみ差が生じる
追分橋
通常、現在の道示ではロッキングピア(上下にヒンジ構造を有する橋脚)を有する連続桁橋は、地震力に抵抗する機構が別途必要となる。現在、追分橋の場合はA1固定橋台が全地震力に抵抗してしまう構造になっている。(一点固定方式)。設計当時に考慮された地震力は、現在とは異なり非常に小さく、仮に固定橋台が損傷した場合、他に水平力の抵抗機構を持たないことから一気に全体系の崩壊に至ることになる。実際の非線形動的解析による照査でもA1固定橋台は、基礎工耐力の2.5倍に及ぶ地震応答値が作用する結果となった。また、斜角も厳しいため左右の桁にたわみ差が生じ、その影響により横桁に大きな負荷応力が入ってしまう状況にある。そのため橋脚と直交する横桁に対して断面補強を行っている。
追分橋の補強概要