新神戸トンネル(北行き)天井板撤去工事の概要
約4・8kmの天井板を夜間通行止めで撤去 ~32号新神戸トンネル~
5 試験施工ができないうえ、限られた作業時間がさらに工事の難度を上げる
全国でもめずらしいRC構造の天井板は、撤去事例もなく、試験施工も一切できないという状況であったことに加え、撤去作業は夜間通行止め中に限られ、翌朝には、必ず一般車が安全に通行できる状態で車線を解放しなければならないという厳しい施工条件が、当工事の難度をさらに上げる要因となった。
そのため、撤去の序盤では、天井板の切断に予想以上の時間を要するなど、進捗が思ったように上がらないこともあったが、結果的に当初の予定どおり40日間で、約4,800mの天井板を無事故、無災害で撤去することができた。
これは、試行錯誤を繰り返しながら、解決策を見出した成果であるが、関係者一同、計画段階から、綿密な施工サイクルと細部にわたる検討、あらゆる潜在的なリスクやトラブルを想定し、その対策を入念に練り上げていたことも大きく寄与している。
6 覆工コンクリート補強には新技術を採用し、ライフサイクルコストの低減を目ざす
最後に、覆工コンクリートの補強について触れておくが、天井板撤去に伴い今後は覆工コンクリートの剥落等が直接お客さまへ影響を及ぼすため、天井板の撤去に先立ち全面的に覆工コンクリートの補修・補強工事を行っている。
ウォータージェット(超高圧水)による洗浄を行ったのち、アクリル系樹脂による表面保護工(NAV-G工法ならびにワンステップガード工法)を実施したが、補修後も覆工コンクリート表面の変状が見え、長期間の可視性が確保できる特長を有している工法を採用した。
これにより、日常点検の中で、ひび割れ等の変状を追跡調査が可能となり、今後の調査業務を効率的に行うことができるうえ、早期に補修・補強を実施できるなど、ライフサイクルコストの低減に繋がるのではないかと考えている。
写真11 表面保護工・天井板撤去完了