新神戸トンネル(北行き)天井板撤去工事の概要
約4・8kmの天井板を夜間通行止めで撤去 ~32号新神戸トンネル~
4 40日間の夜間通行止めによる天井板撤去作業
夜間通行止めによる天井板の撤去は、9月1日から10月11日までの40日間にて行った(昼間は片側車線規制に戻す)。通行止め時間は、最終路線バス通過後の23時30分から始発が通過するまでの翌朝6時までの6時間30分とした。準備や車線開放(通行止め解除)のための片付けも含まれるため、実際に撤去作業を行うことができる時間は約4~5時間と非常に短く、いかに効率よく撤去サイクルを組めるかが、重要なポイントとなった。
天井板撤去には、大型自走式台車に、デッキリフトと架台を積載(写真4)したものを用いた。延長約4,800mを6工区に分割し、6台の多軸台車を使用して撤去を進めた(図4)。坑内6箇所で同時に撤去を進めるため、ある工区にトラブルが発生すると他の工区の天井板が搬出できない。したがって、常に各工区の進捗を把握し、遅れている工区の1日の撤去範囲を判断することも重要なポイントとなった。
写真4 大型自走式多軸台車にデッキリフトと架台を積載 図4 6工区に分けて天井板を撤去
【撤去フロー】
①天井板の支持~切断
撤去開始位置に多軸台車を据え、デッキリフトをジャッキアップし、中央部の天井板を支持(図5)したのち、コンクリートカッターで切断(写真5)する。
図5 天井板を支持 写真5 天井板の切断状況
②ジャッキダウン~多軸台車の移動~1台で1日36㍍の天井板を撤去
多軸台車が1回で支持できる天井板の長さは12㍍であり、切断を終えたのち、架台に載せると、ジャッキダウンさせ、次のスパンへ移動する(図6)。先に撤去した天井板の上に重ねるようにして次の12㍍分を支持したのち、同様に切断する。これを3回繰り返し、36㍍(12㍍の天井板を3段重ね:写真6)の天井板を積載する。
図6 1段目切断~ジャッキダウン~移動 写真6 天井板を3段重ねで積載
③電動ホイストにてトレーラーへ積替え~坑外へ搬出
36㍍(12㍍の天井板を3段重ね)の天井板を積載した多軸台車は各工区ごとに設けられた積み替えエリアまで移動し、あらかじめクラウン部に設置しておいた電動ホイストを用いて、搬出用トレーラーに積み替える(図7)。なお、天井板は、横断方向にも切断されているため、5.4㍍×2.4㍍の天井板を3枚ずつ吊り上げ、90度回転させて、トレーラーに積載する(写真7)。
図7 積替えエリアに設けた電動ホイスト 写真7 多軸台車からトレーラーへの積替え
④残された端部天井板はフォークリフトにて撤去
残された端部天井板は、フォークリフトを用いて撤去する。フォークリフトには、専用の架台を設置し、端部天井板を下面から支持した状態で、落下防止(吊下げ)金具を切断し、撤去する(図8、写真8)。
なお、端部撤去を多軸台車による中央部の撤去と並行して進めることによりサイクルタイムを短縮した。
図8 フォークリフトによる端部天井板撤去 写真8 端部撤去状況
⑤1日最大、約770㌧。40日間で約16,000㌧の天井板を撤去、搬出。
1日最大で、36㍍×6工区=216㍍分(約320立方㍍)の天井板、重さにして約770㌧のコンクリートを約50台のトレーラーおよびトラックにて搬出した。40日間では、約6,700立方㍍、約16,000㌧にものぼった。
なお、搬出した天井板は、7号北神戸線の白川PA近傍の阪神高速道路㈱の敷地内(仮置場)まで運搬し、小割りしたのち、処理場へ搬出した。なお、環境に配慮し、騒音の発生を抑制するため、油圧ブレーカーではなく圧砕機を使用し、天井板を破砕した。
写真9 仮置場に運び込まれた天井板 写真10 破砕状況