東日本高速道路が報道陣に先行公開
常磐道が全線開通
東日本高速道路は2月17日、3月1日に開通する常磐自動車道常磐富岡IC~浪江IC間14.3㌔を報道陣に公開した。同区間は大部分が帰還困難区域にあり、常磐道で最後まで建設が続いていた個所。同区間が完成することで常磐自動車道三郷JCT~亘理IC間300.4㌔が全線開通(内、いわき中央IC~亘理IC間124.9㌔は暫定2車線供用)することになる。これによりいわき~仙台間が32分、相馬~いわき間が62分移動時間を短縮できるほか、東北道が冬季の積雪などで閉鎖された際の代替ルートあるいは東日本大震災のような災害が生じた際の「命の道」としての機能が期待できる。(井手迫瑞樹)
当初、常磐道は平成23年度の全線開通を目指し工事が進められていた。しかし東日本大震災による被災とりわけ福島第一原子力発電所の損傷の影響により短い個所でも3カ月、最も長い常磐富岡IC~浪江ICを含む区間では約2年工事の中断を余儀なくされた。
地震の影響は大きかった。のり面はこの地方特有の細かい砂(ユナ)が長期間放置されたため雨水により土が浸食された。また盛土区間や排水溝などの損傷も各所でみられその補修を行う必要があった。
羽黒川橋
構造物で象徴的な現場が羽黒川橋だ。コンクリート床版の鉄筋を組んでいた途中で被災し、その後2年間の工事中止を余儀なくされたため、鉄筋が錆び、再度鉄筋を組んだ上でコンクリートを打設した。そのコンクリートの打設に際しては、震災による現場付近の生コン工場の閉鎖(帰還困難区域のため)、復興需要の影響で供給がひっ迫したことに加えて、政府の判断で富岡IC~浪江IC間14.3㌔区間の供用開始が、当初予定していた平成27年ゴールデンウイーク前から3月1日に前倒しされたため工期を早めることが求められた。そのため打設回数(合計11回)と打設する予定日を明確にした上で、東京電力をはじめとする他の事業者と折衝して生コン工場を優先確保した。加えてコンサート会場などで用いられる「エアドーム」を橋梁上に配置することで多少の雨天でも打設できる環境を構築し、ほぼ予定通りの施工を実現した。
羽黒川橋
アスファルトプラントを1基増設
震災で影響を受けた工種としてはもう1つ「舗装」がある。同社では仮設アスファルトプラントを平均20㌔につき1基設けていたが、昨年2月に電気系統トラブル(ネズミにより配線が齧られてダウン)によりアスファルトプラントが約3週間止まる事態が起きた。加えて工事再開後、限られた工期の中で完成供用を果たさねばならなくなったことから「工程遅延リスクを回避するため」更にもう1基の仮設アスファルトプラントを増設した。