歴史的名橋「九年橋」をリニューアル

支承交換、桁連結のためジャッキアップして施工
高性能床版防水は綿密に施工管理

【施工手順】
　手順は下フロー図のとおり。

　まず、歩道部及び上部構造物を撤去した後に桁を全体的にジャッキアップする。これは既存の鋼製支承をゴム支承に交換するには、支承高が上がった分クリアランスをとる必要があるため。その後、桁の当て板補強をし、各桁端部以外の床版および舗装を撤去しPCaPC床版を架設、桁連結して連結部上の床版（PC構造）を場所打ちして繋ぎ、鋼製支承を抜いてゴム支承に交換してジャッキダウンする。

　　　　プレキャストPC床版の架設状況　　　　　　　　　　　　　　床版架設は着々と進む　

ジャッキアップ、ジャッキダウン施工時などの桁への負担を考慮し、仮補強している（手前）　　 ジャッキアップされた桁景　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　床版の撤去・架設を連結後に行ったのは（25㌧クレーンを用いて施工することによる桁への荷重負担を考慮したため）。また一連の作業は両側から行わず、4主桁、次いで2主桁の順に行うが、これは2主桁が4主桁に比べ補強量が多く時間を要するため。床版打ち替え後は、塗装塗替え、胸壁打替え、高性能床版防水工などを順次施工していく。
　床版の取り換えは通常のロードカッターを用いるが、桁下は一級河川和賀川のため、下の図や写真のように、全面吊り足場＋シート養生＋朝顔防護とした。床版切断は水を使用するため、作業時はさらに隙間なくシートを敷き詰め、高架下には一切、切断水やハツリ殻を落下させないようにした。集水ができるように2重シート養生を実施している。また、塗替え時の塗膜剥離作業は、既存塗膜に鉛を含むためシート養生を二重にして上部も屋根を作り外部に粉じんを出さないようにした上でブラストにより施工する予定。労働者の安全を守るため、集塵機の設置や保護具の着用など万全の態勢で臨む。
　最大の課題は床版防水。3月という冬季に行うため、床版の暖気養生や含水率検査の徹底、アスファルト舗装舗設時の温度管理など細大漏らさない管理をしなければ期待する性能は発揮できない。現在の床版損傷が防水工の未設置によるものであり、その損傷の拡大によって生じたひび割れから桁に塩化物を含有した水が供給され腐食をまねいたことを考えれば、確実な施工が必要だ。
　撤去した歩道部の代わりは、隣接個所に新たに歩道橋を架設する。歩道橋の完成は九年橋の補強より一年遅れの28年3月の予定だ。
　設計は土木技研。九年橋の上部工補強は横河工事・小原建設JV。
　歩道橋下部工は千田工業、桁の製作・架設は片山ストラテック。