床版などを全面取換
歴史的名橋「九年橋」をリニューアル
床版は全パネルをプレキャストPC床版に交換
NEXCO仕様の高性能床版防水を採用
床版については、損傷状況に差はあるが左岸側で供用後89年、右岸側で供用後81年が経過していることから、全パネルを交換する。
既設床版の撤去
交換に際しては、歩道部を撤去し幅員を現在の5.5㍍から6.5㍍に1㍍拡幅する。また、右岸側の打ち替えには高強度軽量プレキャスト(以後PCa)PC床版(HSLスラブ)、左岸側には通常のPCaPC床版を採用した。右岸側を軽量化したのは左岸側に比べ補強量が多いため。左岸側は下部工負担重量に余裕があり、当初は経済性を考慮してRC床版の採用を考慮していたが、労務者不足への対策、工期短縮の観点からPCaPC床版を採用した。
なお床版防水は、NEXCO仕様の高性能床版防水(いわゆるグレードⅡ)を採用している。これは交通量が1万台を超えるため、長時間の通行規制を伴う大規模工事をそう度々行えないこと、凍害や凍結融解、凍結防止剤(塩化マグネシウム)散布による塩害など水に起因した損傷の可能性が多く、耐久性の高い防水工が必要であることから、「30年間の性能を保証している高性能床版防水(ノバレタン工法)を床版全面に採用」(北上市道路環境課・杉澤氏)した。
塗装は全面を1種ケレンで塗替え
コンクリート表面保護はけい酸塩系表面含浸材を採用
橋台はA1、A2ともに胸壁を打ち替える。A1は御影石の石積パラペットであったため、今回RCの橋台に打ち替えた。A2は(桁連結や床版取替えに伴い)キャンバーが全体的に少し上がることからその対応とパラペットの凍害損傷の断面修復を施している。 また、塗装については全橋で塗膜劣化が見られることや前の塗替えから30年弱経過していることを鑑み、5,580平方㍍全てを塗り替える。塗替えに当たっては既存塗膜に鉛が含有されていることから、足場上のシートを二重にした上で集塵機や保護具など必要な措置を施し、ブラストにより1種ケレンして、フッ素系重防食塗装に塗り替える。
床版、地覆など上部工のコンクリート構造物には珪酸塩系の表面含浸工(「RCガーデックス」)を塗布し、凍結防止剤による塩害や凍結融解などへの耐久性を向上させる。 下部工は劣化部の断面修復を行うのみ。ただし和賀川の澪筋に当たるP6、P7橋脚のみ洗掘が進行し、ケーソン全面がほとんど露出していることから、別工事を発注して、再度根固めし、洗掘防止用の土留め工を設置する。