『現場力=技術力(技術者とは何だ?)』
⑯斜張橋の発展とケーブル連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。2019年の年末、中国武漢から感染が始まったと噂される「新型コロナウイルス」であるが、今のところ一向に収束する気配がない。願わくは「東京オリンピック2020」迄には収束して欲しいものである。1年前、大阪日中友好協会訪中団の浙江省班長として中国上海、浙江省を経由して陝西省を訪問した。中国の斜張橋・吊橋という範…
詳細ページへ⑮多径間吊橋の可能性連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに「新型コロナウイルスの第三波襲来か」と巷が騒々しくなってきた。この数か月、大阪市内や神戸市内の繁華街での飲食(飲酒)は一切していないし、思い起こせば7月に親友の病院見舞いに福岡に行った際、博多駅近くで大学の先生達と飲み会をしたくらいである。25年前、北九州空港連絡橋の設計・施工で寝食を共にした盟友と言っても良いメンバー達である。当時は私が37歳、他のメンバーも30代中盤…
詳細ページへ⑭防護柵の重要性~重大事故を教訓として~連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
私の連載記事も10月1日号で2年目に突入した。今回は、少し毛色の変わった「防護柵の重要性」と題して経験談を紹介する。当然の事ながら、現場第一主義をモットーとする私だから、そこは外さないように記述する。何故、今、防護柵?と思われるかもしれないが、道路会社を退職する一因にもなったことであり、忘れないうちに書いておこうと思った次第である。今回の題材は、①阪神高速北神戸線での死亡事故、②福…
詳細ページへ番外編 光学ストランドによるPC橋の載荷試験 ―奈良県川上村管理の林道鳴川線小所橋-連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに奈良県川上村が㈱日本インシーク(大阪市)に発注した林道鳴川線小所橋(PCポストテンション単純I桁橋)橋梁載荷試験業務がこのほど完了した(写真-1参照)。載荷試験を行ったのは、2019年度に実施した「川上村管内橋梁補修設計業務委託」の損傷調査において、PC鋼材の露出・腐食・グラウト充填不良、遊離石灰、等の損傷(写真-2参照)が確認されたことによるもので、現時点では大型車の通行規…
詳細ページへ⑬国際貢献・ステップ案件・弊害連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめにJICAの国際協力事業(無償援助・円借款・技術協力)については東南アジア、アフリカ及び南米等全世界で行われている。私が直接的に関係したのは、①阪神高速G時代のチュニジア案件(橋梁維持管理能力向上P)やモロッコ案件(点検技術支援)(写真-1~3)、②本四公団時代のフィリピン・ブータン・東ティモール、等の技術協力(研修)である。これ以外に海外コンサルタントの技術顧問として、ある…
詳細ページへ⑫会計検査の重要性~技術者と説明責任~連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめにテレビの「半沢直樹」の視聴率が絶好調である。メガバンクの行員が銀行内外の不正を次々と暴き役員だろうが、上司だろうが、とことんやっつける、実に面白い。この中に出てくる財務省出身で金融庁の統括検査官や証券等取引監視委員会の統括検査官である黒崎。彼は所謂銀行の会計検査院調査官である。金融庁の検査は、銀行等に立入検査に入り、経営内容の検査や不良債権(不正融資)の有無をチ…
詳細ページへ⑪地盤の支持力評価~北九州空港連絡橋~連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに令和2年5月28日に、本サイトの「現場を巡る」に掲載された「新港・灘浜航路部の2P主塔部において鋼管矢板井筒基礎の杭の鉛直載荷試験を実施」を拝読した。5径間連続斜張橋の主塔基礎で採用が検討されている鋼管矢板井筒基礎の支持力評価のための静的載荷試験である。海上部における杭基礎の支持力評価法については、関西国際空港連絡橋(残念ながら連絡橋の設計係長時代は既に下部工は竣工済み…
詳細ページへ⑩神戸の顔-東神戸大橋を巨大地震から守る-連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに日本を代表するダブルデッキ長大斜張橋、阪神高速道路5号湾岸線の東神戸大橋について今回は紹介する。平成19年7月、阪神高速道路本社より神戸管理部調査設計課長に異動し、この橋の耐震補強を担当することになった。東神戸大橋との最初の出会いは、平成3年、当時関空本社設計係長の時代である。阪神公団出向係長の紹介で建設中の現場を案内して頂いた。私が阪神高速で最も尊敬している故北沢正…
詳細ページへ⑨吊橋・斜張橋の主塔への思い連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)はじめに昨年10月から連載記事を書き出して今回で第9号となる。また、㈱日本インシークに入社してもうすぐ1年を迎える。この間、地方自治体さんの悩みに応えるべく東奔西走してきた。例えば、構造物ジャーナルNETの現場を巡る(4月27日号)で取り上げて頂いた和歌山県白浜町の車道(歩道)吊橋(写真-1参照)や斜張橋。奈良県国立公園内の歩道吊橋(写真-2参照)。さらには、徳島県の吊橋や斜張橋。こ…
詳細ページへ⑧長大橋技術大国へひた走る-中国雑感-連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
令和2年1月下旬、中国湖北省武漢市から新型コロナウイルスの感染拡大の報が全世界に発信された。それがこの3か月の間に全世界的な感染症に発展した。中国はスケールが大きいだけに怖い。昨年の12月に1週間、上海、浙江省及び陝西省への出張の機会があった。また、2016年の秋には2週間、北京市、河北省石家荘市及び上海への出張の機会があった。忘れないうちに「長大橋技術大国へひた走る」中国についての雑感…
詳細ページへ⑦横風と車両横転について連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
2018年5月、本四橋をはじめ国内・国外の長大橋の耐風設計で非常にお世話になり、アフターファイブでは居酒屋で議論をさせて頂いた白土博通先生(京都大学大学院教授、享年61歳)が急逝された。4か月前、関西道路研究会(大阪市主催)の中に設置された「斜張橋ケーブルの耐久性評価と今後の維持管理に関する研究小委員会」の報告会で委員長と委員という立場で共にプレゼンしたところだった。その夜は、大阪駅…
詳細ページへ⑥吉田巌氏を追悼して連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
本文を書き始める前に昨年9月にご逝去されました吉田巌様に心からお悔やみ申し上げます。道路構造物ジャーナルNETの井手迫さんから吉田巌様の訃報を聞き非常にびっくりしました。井手迫さんから追悼の記事をというお願いがあり、過去の記憶を辿りながら短い文章ではありますが書かせて頂きます。吉田巌様は建設省に入省され、長崎県の西海橋、福岡県の若戸大橋の設計施工に携われ、その後、土木研究所に戻ら…
詳細ページへ⑤阪神大震災を振り返って~鋼管矢板基礎との出会い~連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
未曾有の阪神大震災から25年。地震に関する私の周辺で起こったトピックスを紹介する。(1)阪神大震災の当日1995年1月17日、午前5時46分。明石海峡大橋3P主塔付近直下(深さ16km)を震源とするM7.3の阪神大震災が発生した。この地震により阪神間の交通網や都市機能は壊滅状態に陥った。当日は、広島県尾道市の社宅で寝ているところに震度4の地震。びっくりして起きたところでテレビを見ると緊急ニュースが…
詳細ページへ④海中基礎の防食あれこれ連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
1.大鳴門橋多柱基礎の防食(1)はじめに大鳴門橋の建設に当たっては自然公園法に基づく環境庁協議と同意書が必要であった。これは、鳴門海峡の一帯が瀬戸内海国立公園の特別地域に指定されていることによるもので、条件付きの同意書であった。条件とは、①白浪の遮蔽を少なくするため、4P橋脚を裸島(写真-1参照)へ近づけること、②渦潮のモニタリングをすること、③地形改変をなるべく少なくすること、等で…
詳細ページへ③橋面舗装(鋼床版)について連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)本四橋の鋼床版舗装本州四国連絡橋(以下、「本四橋」という。)の海峡部長大橋は、死荷重軽減を目的として「鋼床版」を採用している。鋼床版はコンクリート床版に比べて、①剛性が低いため輪荷重による局部的な変形が大きい、②気温の影響を受けやすいため温度の変動範囲が広い、等の特徴がある。鋼床版舗装に要求される品質は、①平坦性、②鋼床版の変形に対する追従性、③耐久性、④不透水性、⑤薄層・軽量…
詳細ページへ②吊橋主塔の塗替工法について連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
(1)大鳴門橋の厳しい自然環境ここ数年、異常気象と思われる豪雨・暴風が各地で発生し、大規模な災害・爪跡を残している。2004年、大鳴門橋を含む長大橋(門崎高架橋、亀浦高架橋、撫養橋)の維持管理を担当していたこの年、年間10回の通行止めを行った(区間:淡路島南IC~鳴門北IC)。本四道の通行止め風速は、10分間平均風速で25m/sを目安にしており、必要により公団(現在の道路会社)と兵庫・徳島両…
詳細ページへ①吊橋主塔が揺れる、箱桁橋が揺れる!連載
現場力=技術力(技術者とは何だ?)
はじめにこれまでに携わった本州四国連絡橋(以下、「本四橋」という)を始めとする国内・国外長大橋の建設・管理に関して話題提供してくれないか、という井手迫記者の頼みに思わずOKを出した。社会人になって約40年。最近つくづく感じることがある。それは何か?技術者が現場に行かなくなった。役所、道路会社(子会社も)、大手建設コンサルタント。いい意味(悪い意味)分業制が定着して民間会社の技術…
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